新聞購読が減っているのに凸版印刷がチラシで稼いでいる理由:苦節5年で黒字化(2/4 ページ)
新聞が読まれなくなり折り込みチラシの量は減っているのに、チラシの事業で凸版印刷が稼いでいる。本格的なビジネスモデルを確立してから黒字化するまでの道のりとは?
コツコツと掲載企業を増やしていった
現在のビジネスモデルが確立するまでには実は長い時間がかかっている。凸版印刷の山岸祥晃氏(現メディア事業推進本部長)が01年、社内ベンチャーの発表会でShufoo!のひな型となる事業案を発表した。その当時は採用されなかったが、山岸氏は諦めなかった。勤務地の大阪で「御社のチラシをホームページに掲載しましょう」と営業活動を展開した。担当する社員は5人程度。スキャンしたチラシの画像データを企業のホームページに掲載して料金をとるという地道なものだった。Shufoo!のサイトにもチラシは掲載していたが、掲載企業のホームページから読まれるほうが圧倒的に多かったという。
本格的に展開をするようになったのは10年だ。掲載企業から「もっと新規のお客さんを店舗に呼びたいから、Shufoo!のサイトに集客してほしい」という声が高まってきた。企業のホームページを自分から閲覧するのは既存顧客だ。新規顧客を獲得するには、チラシをもっと多くの人に読んでもらいたいと掲載企業は考えていた。
本格的なインターネット時代が到来し、特定の消費者にしか届かない折り込みチラシではなく、誰でも読めるネットにチラシを掲載したい企業が今後増えることが見込まれた。掲載店舗数も順調に増えていた。
Shufoo!のプロジェクトに関わる社員は数十人に増え、サービス開発とプロモーションのための予算が投入されるようになった。本格的に事業化してから黒字化するまでに5年を要することになるが、長期的に取り組めた背景にあったのは経営陣の強い期待があったからだという。
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