中国人観光客を締め出しても、「日本の花見文化」が守れない理由:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
「お花見」の経済波及効果が注目されているが、実は不安材料もある。それは「中国人観光客」。彼らに対する「被害者意識」が、好調なインバウンド消費にブレーキをかけてしまうのではないか。
迷惑を掛けていた日本人観光客
詳しくは、過去記事(「野蛮人」と蔑まれていた日本人観光客が「世界一」になったワケ)を読んでいただきたいが、実はアジア圏における「元祖・迷惑外国人観光客」といえば、われわれ日本人だったのだ。
ブランドショップで女子大生が「爆買い」し、遺跡や教会に平気で落書きした。ざんげをしている人にフラッシュを浴びせて神父さんに怒られる人や、交通機関に並ぶ地元民の列に横入りして、札束で「いい席にしてくれ」と交渉する農協のツアー客みたいな人もよくいた。
今でこそ日本人がわがもの顔で英語を話さずとも遊べると人気のハワイでは、日本企業がワイキキあたりの不動産を「爆買い」した。そのすさまじい勢いに、当時の市長が本気で「このままではハワイは日本に乗っ取られる」と心配したほどだ。先住民からも「日本人はもう来るな」という怒りの声が上がった。先祖代々の聖地に日本のツアー客がズカズカと入りこんで好き勝手やったからだ。反対運動も起きて、日本人観光客をどうすべきか、という国際会議が開かれたこともある。
ジャパンマネーの強さを武器に、まるで国内観光のようなノリで世界を駆け巡る。そんな日本人観光客のやりたい放題を『TIME』誌では、「世界の観光地を荒らすニュー・バーバリアンたち」と特集した。
こういう耳の痛い話をされると、ほとんどの日本人は「まだ海外旅行に慣れてなかったんだ」と言い訳をするが、実はいま、日本のメディアが鬼の首をとったかのように大々的に取り上げる「迷惑な中国人観光客」という問題も、その一言で解決できる。
かつて野蛮人扱いされながらも徐々に外国人観光客としての立ち振る舞いが身に付いたわれわれのように、中国人観光客も、海外旅行の機会が増えて、異国文化に対する理解が深まれば当然、立ち振る舞いも変わっていく。つまり、日本における中国人観光客のマナー問題というのは、その数が増えていけばいくほど解決されていくものなのだ。
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