「森友問題」を解決する秘策は、ある:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
森友学園の国有地取引を巡って、財務省の決裁文書改ざんが表面化し、問題が再燃している。公文書にまつわる問題を一気に解決する方法がある。それは「ブロックチェーン」だ。
世界で応用され始めたブロックチェーン技術
このように、ブロックチェーンはさまざまなシーンに応用することができる。土地や建物、さらには自動車や特許まで、ブロックチェーンの技術が生かせるとして世界でも注目されている。また例えば、選挙でも有権者が不正をしていないかなどを管理できるし、ビジネスの世界でも不正や誤りを劇的に減らし、効率性や生産性にも貢献することになる。
例えばウクライナは、17年10月に、国の登録制度や公共サービス、社会保障、公衆衛生、エネルギー部門で、政府主導による本格的なブロックチェーンのシステムを実施すると発表している。そして土地登記などすでに試験運用が始まっている。これらの部門でシステムが軌道に乗れば、さらに広い範囲でブロックチェーンを導入するという。
また、もともと国家としてデジタル化が進んでいたエストニアでは、12年から国家的にブロックチェーンの導入を開始し、IDカードや有権者情報、税金の支払い、医療データ、司法データなどでブロックチェーンが活用されている。ちなみにエストニアは国家として仮想通貨「エストコイン」を発行しようとしたが、中央で集中管理ができなくなるのを恐れた欧州中央銀行(ECB)が慌ててそのアイデアに苦言を呈してけん制している。
土地登記に関しては、スウェーデンもブロックチェーンを使用し始めている。
とにかくブロックチェーンはまだ黎明期であるが、今後も世界各地で導入されていくことになるだろう。そして、公文書を記録する公的部門をはじめ、将来的にはほぼ全ての情報管理がこの技術の恩恵を受ける可能性が高い。
日本ではこれまで、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)の日報廃棄、省庁が使う公用電子メールの一定期間での削除、といった公文書というものを軽視したずさんな行為が批判されている。
ちなみにこの時代に公文書を、期限を決めて破棄するということ自体、見直しが必要だろう。日本経済新聞(17年11月8日付電子版)は「各省が文書の性格や重要度に応じて保存期間を1〜30年の間で分類」しているとし、毎日新聞(17年3月20日付電子版)によると「同省(財務省)行政文書管理規則は国の行政文書管理ガイドラインに従って、保存期間を文書ごとに例示して表で示している。担当部課はこの表に従って、文書を作成する際に保存期間を1年、3年、5年、10年、30年の中から決めている」という。
税金を使って公的な取引ややりとりがなされたのなら、それは税金を払っている国民の知る権利に該当する文書である。デジタルの時代ならなおさら、全て記録して残しておくのが当然ではないだろうか。そして記録をデジタル化して期限を決めずに残し、さらにブロックチェーンも使えば、過去に批判されたような問題が起きる可能性は低くなると言える。
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