全力で駆け抜けた川崎宗則から、学ぶべきこと:赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)
福岡ソフトバンクホークスが川崎宗則内野手の退団を発表した。なぜ川崎は多くのファンから愛されたのか、なぜ心の病を患うことになったのか。彼の素顔は……?
再び公の場に姿を見せる日
古巣ホークスに戻って期待されながらも体がついて行かず、満足なプレーができずに故障がちになったことも自分を責める一因につながったようだ。しかし川崎はホークスの主力でNPB史上トリプルスリー&首位打者の同時獲得者、柳田悠岐外野手が感謝の念を抱いているように、多くの主力選手たちから「気持ちの持ち方やモチベーション維持の方法を教えてもらった」と謝意を示されている。
その魂は確実にホークスの後輩たちへと引き継がれている。そして一昨年までプレーしていたメジャーリーグの舞台でも川崎のはつらつとしたプレーやパフォーマンスが見られなくなり“ムネロス”にあえぐ米国のファンも少なくない。1人の日本人プレーヤーが自分の夢を追い求めつつ献身的な生き方も貫いたことは異国の地で共感を呼んだのだ。
全力で突っ走った川崎宗則の野球人生は誰にも真似などできないし、とても素敵だった。人それぞれ身を置く世界は違うが、彼のような生き方をやってみろと言われてもきっと難しいだろう。とはいえ「為せば成る」という大事なことを教えられた人も多いはず。とにかく川崎にはまず「野球」の二文字をしばらく忘れ、ゆっくり休んでほしい。どのような形であれ、再びムネリンが明るく屈託のない笑顔とともに再び公の場に姿を見せる日を誰もが待ち望んでいる。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ、2018年平昌)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
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