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ヤマダ電機とビックカメラ、“経営がうまい”のはどちらか:実は大きく異なる(4/4 ページ)
家電量販店業界の最大手であるヤマダ電機と2位のビックカメラ。実は両社は店舗の立地戦略だけでなく、多角化戦略でも大きく異なる戦略を打ち出している。「経営のうまさ」を示す指標で比較すると驚きの結果が見えてきた。
「経営がうまい」のはどっち?
ヤマダ電機が大量出店した反動で不採算店舗の閉鎖に追われたり、買収した住宅関連企業の立て直しに追われたりしているのとは対照的に、ビックカメラはより少ない投資で高い成果を上げていることが分かる。
その結果はROE(自己資本利益率)という指標に出ている。これは、簡単に言うと株主の投資資金を用いてどれだけ効率的に稼いでいるかを示す指標だ。近年、投資家から注目されていて、「経営のうまさ」とも表現できるだろう。1つの目安として8%以上が望ましいとされる。ヤマダ電機のROEは6.3%(17年3月期)、ビックカメラは11.74%(17年8月期)と差は歴然だ。
窪田氏はさらに両社のROEに今後、大きな差が出ると予想する。日本電機工業会の発表によると「白物家電」の国内出荷額は03年から緩やかに増加を続けている。これはインバウンド需要や、高付加価値の家電が堅調に売れていることなどが背景にある。白物家電が好調という追い風を受けているのに、両社のROEには大きな差がある。「19年10月の消費税増税後、住宅と家電は激しく需要が落ち込むことが予想される。ビックカメラは日用品や雑貨で落ち込みをカバーできるが、ヤマダ電機は住宅の需要減の影響を強く受けるだろう」(窪田氏)。
ヤマダ電機は消費税増税までに住宅関連事業を強化できるだろうか。多角化戦略の真価が問われている。
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