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ヤマダ電機とビックカメラ、“経営がうまい”のはどちらか:実は大きく異なる(3/4 ページ)
家電量販店業界の最大手であるヤマダ電機と2位のビックカメラ。実は両社は店舗の立地戦略だけでなく、多角化戦略でも大きく異なる戦略を打ち出している。「経営のうまさ」を示す指標で比較すると驚きの結果が見えてきた。
日用品や雑貨を強化するビックカメラの多角化戦略
一方のビックカメラは、約10年前から雑貨や日用品と家電を組み合わせて販売する多角化戦略を展開している。例えば、アルコールを扱う「ビック酒販」や医薬品を扱う「ビックドラック」といった独立した部署をつくり、専門知識を持った店員を育成している。さらに、17年11月には化粧品やキーホルダーといった家電以外の品ぞろえを充実させた新業態店「ビックカメラセレクト原宿店」をオープンするなど、その動きを加速させている。
ビックカメラの戦略を窪田氏はこう評する。
「スーパーやドラッグストアを想像すれば分かるが、日用品を扱う店舗は来店頻度が高くなる。家電などの耐久消費財と日用品を同じ店舗で売ることで相乗効果が見込める」
窪田氏によると、小売店にとっては来店頻度を高めることが売り上げアップの近道だ。スーパーマーケットの隣に出店したいと考える小売店が多いのはそのためだという。
窪田氏の指摘を踏まえるならば、ヤマダ電機の多角化戦略は来店頻度を高める方向には作用しにくい。住宅展示施設やリフォーム関連のショールームは家電量販店よりも来店頻度が低いからだ。
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