ヤマダ電機とビックカメラ、“経営がうまい”のはどちらか:実は大きく異なる(2/4 ページ)
家電量販店業界の最大手であるヤマダ電機と2位のビックカメラ。実は両社は店舗の立地戦略だけでなく、多角化戦略でも大きく異なる戦略を打ち出している。「経営のうまさ」を示す指標で比較すると驚きの結果が見えてきた。
住宅関連事業を強化するヤマダ電機の多角化戦略
ヤマダ電機とビックカメラは多角化戦略も大きく異なる。
ヤマダ電機の多角化戦略を象徴するのが、11年10月に実施された注文住宅のエス・バイ・エルの子会社化だ(現在は社名をヤマダ・エスバイエルホームに変更)。家電製品や太陽光発電システムなどを住宅と組み合わせて販売する狙いがあった。
窪田氏はこの戦略に疑問を呈する。
「家電と住宅を売るノウハウは異なる。エス・バイ・エルは子会社化された当時、業績不振に苦しんでいた。エス・バイ・エルの立て直しは非常に難しいだろう」
ヤマダ・エスバイエルホームは18年2月期の連結決算で最終損益が27億円の赤字だった。17年2月期の最終損益も2億9000万円の赤字だったため、厳しい経営環境に置かれている。
ヤマダ電機はエス・バイ・エルの買収後も、住宅設備機器のハウステックホールディングスを買収してリフォーム分野にも進出した。ヤマダ電機の店舗内にショールームを設けるなど、住宅関連事業と家電の相乗効果を狙っている。さらに、近年では家電、家具、リフォームなどを扱う新業態店「インテリアリフォームYAMADA」をオープンさせた。この新業態店は4月時点で20店舗強にまで増えている。
ヤマダ電機の山田昇会長はBusiness Journalの取材に対し「投資家のみなさんからすれば『よけいなことをやっている』という感じでしょうが」と外部の批判を意識したうえで、新業態店について「『住まいに関する家1軒まるごとのサービス』を具現化した店舗であり、ヤマダ電機がビジネスを強化するという姿勢の象徴的な店舗です」と強調している(関連記事:「ニトリのモノマネではない」…ヤマダ電機会長、「住まいに関する家1軒まるごとのサービス」を語る)。
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