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福田次官のセクハラ騒動で、まだ語られていない本質的な問題スピン経済の歩き方(5/6 ページ)

福田事務次官のセクハラ騒動を受けて、さまざまな議論が起きている。「マスコミのパワハラ体質が問題だ」「任命した麻生大臣に責任がある」といった声があるなかで、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。どういうことかというと……。

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クラブ記者と官僚の関係

 クラブ記者と官僚の関係は、ホステスさんと客の関係とよく似ている。嫌な官僚でも情報をくれるなら我慢をしてエロ話の相手をしなくてはいけない。嫌な客でも指名をくれるなら、口説きもかわしたり、多少のおさわりも我慢をしなくてはいけない。

 人間関係がうりふたつならば、そこで行われるハラスメントが似るのも当然だ。酔った福田氏が、女性記者に「お店の女性」のような「言葉遊び」を始めるのは、彼のなかではまったく自然なことなのだ。

 こういう本質をズバリとつくような話をしてしまうと、「権力の監視」という尊い仕事をしている記者クラブを、夜のお店と重ねるとは失礼すぎる、と怒りの抗議が寄せられるかもしれないが、クラブ記者のみなさんが、高級クラブのホステスさんや、キャバクラ嬢並みに、上客に弱い立場にあることをこれ以上ないほど証明しているエピソードがある。

 2017年6月、国連人権理事会で「表現の自由の促進」の特別報告者であるデービッド・ケイ氏が、日本の政治ジャーナリズムについての報告書を発表した。マスコミは、ヒトラー安倍の恐怖政治で、いかに報道が萎縮しているかを必死にアピールしたので、その手の話もだいぶ盛り込まれたが、問題はそこではなく、日本のマスコミを調査した際、ケイ氏が直面した違和感である。それは、米テンプル大日本校教授のジェフ・キングストン氏が明かしている。

 「ケイ氏が驚いたのは、調査した記者たちが『匿名』を希望したことだ」(朝日新聞 2017年8月22日)


(出典:週刊新潮 4月19日号)

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