「変なホテル」都心に続々 「いずれは完全無人化も」:浜松町に4月27日オープン
H.I.S.ホールディングスが「変なホテル東京 浜松町」を4月27日にオープン。コンセプトは「健康・快眠」と「近未来」。都心に続々と展開する「変なホテル」の強みとは?
H.I.S.ホールディングス(HD)は4月27日、「変なホテル東京 浜松町」(東京都港区)をオープンする。ロボットと最新設備を導入している「変なホテル」の6店舗目。コンセプトは「健康・快眠」と「近未来」で、医療クリニック「AI(アイ)ロボクリニック」を併設しているのが特徴だ。ビジネスパーソンのほか、外国人観光客の利用も見込む。
受付に立って「いらっしゃいませ」と声をかけるのは、男女の人型ロボット。タッチパネルの案内に従うと、宿泊者情報の確認から支払いまでができる。言語は日本語を含む5カ国語対応となっている。横にはパートナーロボット「unibo(ユニボ)」が備え付けられており、近辺の情報などを案内する。客室内にはスマートフォンをかざすとタクシー迎車依頼やレンタルサイクルなどが利用できる「スマートプレート」を設置。“コンシェルジュ代わり”になっているというわけだ。
客室は「シングル」「セミダブル」「ツイン」「タワービューデラックスツイン」の4タイプ118室。ビジネス需要が高いことが予想されているため、8割がシングルルームとなっている。リラックス効果が期待できるというファイテン社の「アクアメタル技術」を部屋や寝具に使ったフロアの設置、レイコップ社のふとんコンディショナー「Futocon(フトコン)」などで、「快眠」をアピールする。
「変なホテル」は2015年、長崎県佐世保市ハウステンボス町に1号店をオープン。東京ディズニーリゾートそばの「変なホテル舞浜東京ベイ」(千葉県浦安市)、インバウンド需要を見込んだ「変なホテル東京 銀座」(東京都中央区)など、“ロボットを使う”を共通点にしつつも、リゾートからビジネスまで多様な利用形態で展開している。
強みは、ロボットを使用することで、生産性向上、人手不足問題の解決、人件費の削減効果が狙えることだ。受付や宿泊客対応をロボットが担えば、既存の3分の1〜4分の1に当たる最小6人のスタッフでホテルを運営することができる。「変なホテル東京 浜松町」では、オープン時のスタッフは10人前後だが、徐々に常駐するスタッフを減らす予定という。
「変なホテル」は今後、3〜5年後までに100店舗という積極的な出店計画を立てている。H.I.S.ホテルHDの澤田秀雄会長兼社長は「保守的に見て、1店舗当たり2億円前後の経常利益が出せる。将来的にはH.I.S.ホテルの事業の中で、200億円前後の利益を出す事業になる」と意気込む。台湾、タイ、ベトナムなど、海外店舗展開も進めている。また、現在は法律の壁などもあり実現が難しいが、「完全無人ホテル」の構想もあると語った。
医療クリニック「AIロボクリニック」
澤田会長は「変なホテルの『変』は、『変化・進化する』という意味」と話す。浜松町の新店での新たな挑戦は、医道メディカルと取り組んだ医療クリニック「AIロボクリニック」の併設だ。内科、皮膚科、歯科の診察ができるクリニックで、遺伝子検査や腸内フローラ検査を行い、予防医療や治療を提供する(自由診療で、公的医療保険適用外となる)。「宿泊をきっかけにした健康増進」や「治療のための宿泊」が見込めるという。
「AIロボクリニック」では、診察をするのは人間の医者。受付には人間のスタッフもいる。しかしエントランスには、ロボットの「Pepper」「ロボホン」があり、受付や検査の説明をするようになっている。
今後はWeb会議システムを介して遠隔地にいる医者に健康相談ができるサービスも予定する。またオープン後は、AI(人工知能)を活用し、予約状況の情報を蓄積し、キャンセルを防止する試みもあるという。今後は完全受付無人化や、ロボットによる健康指導や新人教育の実現を目指す。
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