「セクハラ大国」の汚名を返上するために、どうしたらいいのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
前財務省事務次官・福田淳一氏のセクハラ問題は海外でも広く報じられている。どのように対処していけばいいのか。いま一度、ハラスメントに対する認識を見つめ直すべきだ。
先日、米国への出張中に、日本発のニュースを見て驚いた。
週刊新潮(2018年4月19日号)が最初に報じた前財務省事務次官・福田淳一氏のセクハラ問題で、福田氏がセクハラ疑惑を否定したという報道を目にしたからだ。
新潮の記事によれば、何人もの女性記者や財務省職員が福田氏のセクハラ被害に遭っているようで、「被害者の会ができるんじゃないか」というほどだという。にもかかわらず、福田氏は財務省の調査に、「週刊誌報道で記載されているようなやりとりをしたことはなく、心当たりを問われても答えようがない」と答え、新潮を提訴する準備をしているとも報じられた。だが直後に辞任した。
そしてその後に続いた、財務省の「福田事務次官との間で週刊誌報道に示されたようなやりとりをした女性記者の方がいらっしゃれば、調査への協力をお願いしたい」というコメントや、記事内の中心的な被害者がテレビ朝日記者だったことで、テレビ朝日が記者会見を開くなど、賛否を巡る大騒動に発展した。
この一連の報道を米国にいながら目にした。
しかも、このセクハラ問題の前にも、日本ハムの関係者が空港のラウンジで女性アテンダントにセクハラ発言をして役員らが辞任したことが米ブルームバーグでも報じられていた。さらには日本文化の海外発信を担う官民ファンド「クールジャパン機構」でも17年、そして18年に、役員や中央省庁出身のキャリア官僚らによるセクハラ問題が裁判に発展し、海外でも報じられている。
率直に言って、国外から見ると、日本という国は「セクハラ大国」のそしりを免れないだろう。
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