「セクハラ大国」の汚名を返上するために、どうしたらいいのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
前財務省事務次官・福田淳一氏のセクハラ問題は海外でも広く報じられている。どのように対処していけばいいのか。いま一度、ハラスメントに対する認識を見つめ直すべきだ。
海外メディアはどのように報じているか
米国で著者が見た財務省事務次官についての記事とはどんなものだったのか。
まずは米ニュース専門チャンネルCNNの電子版記事だ。「(新潮のネタ元である)ジャーナリストはテレビ朝日に勤務しており、自分と福田との会話を録音していた。彼女は、この音声が録音されるまでに、福田次官によってハラスメントが過去1年半続いていたと主張している。この疑惑は週刊新潮に掲載された。追い詰められた福田次官は、報じられた事実は不正確で、彼は『裁判で争いたい』と言っている。公表された音声によれば、男性の声で『おっぱい触ってもいい?』とお願いしている。さらに声は、相手に『キスしてもいい』か、『手を縛っていい』かと尋ねている。音声にハラスメントを訴えている記者の声は入っていない」
これだけで十分に恥ずかしすぎるが、新潮の記事とその続報(4月26日号)にはさらに開いた口がふさがらないような「ハレンチ発言」の数々が掲載されている。もし事実だとすれば、新潮の記事から言葉を借りると、まさに「セクハラオヤジ」以外の何ものでもない。
また、このCNNの記事は、新潟県知事の1件にも触れている。「福田の辞任の前には、新潟県知事の辞任を発表していた。18日の記者会見で、米山知事は好意を得るために女子大学生らにカネを支払っていた。原発再稼働の問題で反原発感情を背景に知事になった米山は『贈り物や現金を与えた』と述べた。『誤解を生む行為だった……私には恋愛感情があった』。この辞任について週刊文春が、知事は学生たちにそれぞれ3万円を支払って性行為に及んでいたと報じた。独身の米山は、出会い系サービスで何人かの大学生と出会っており、支払いをしたことは違法性があると解釈できるかもしれないと認めた。米山は自身について、『正気を失った中年だ』と言った」
知事という重要な役職にある人物にしては軽率な行為だったと言わざるを得ない。それは、多くの外国人も同じ感覚を抱いただろう。個人的には、米山氏がハーバード大学の関連病院であるマサチューセッツ総合病院の研究員だったことも触れてほしかったが。
とにかく、英語で情報を得ている人々の多くは、このような記事を読んで、日本で起きている女性スキャンダルについて知ることになった。
福田氏に話を戻す。ワシントンポスト紙はこう報じていた。「財務省は(決裁文書改ざんの他に)さらに苦境に陥っている。財務省のトップ役人が日常的に女性ジャーナリストにセクシャル・ハラスメントを働いていた。音声の録音も存在する。財務省事務次官の福田淳一は、飲みの場で性的に挑発的なコメントを女性記者たちに発していたと指摘する週刊新潮の記事を強く否定し、名誉毀損で訴えると言っている。新潮は事実に基づいた報道であるとの立場であり、16日に音声を公表した。音声では、福田と思われる男性が、レストランバーで女性記者に『おっぱいを触ってもいい?』と言っている」
さらに、フランスのAFP通信はこう指摘する。「性別に対する古い考え方が残る日本は、女性政治家の数が世界でも最悪クラスで、『#MeToo』運動のインパクトも限定的である。だがこれから変わる」と、事務次官のセクハラ問題が、日本ではなかなか盛り上がらない「#MeToo」運動の広がりに貢献する可能性を示唆している。
財務次官の問題は、他にも欧米や中国などでも報じられており、一連の日本のセクハラや性的スキャンダルが世界で広く報じられていることになる。
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