「セクハラ大国」の汚名を返上するために、どうしたらいいのか:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
前財務省事務次官・福田淳一氏のセクハラ問題は海外でも広く報じられている。どのように対処していけばいいのか。いま一度、ハラスメントに対する認識を見つめ直すべきだ。
第三者による調査が必要
もちろん、こうした問題のせいで、本来の日本の文化や国民性が軽蔑されることになるわけではない。だが女性にからんだ問題が多い国だというイメージが広がりかねないのも否定できない。
ただ起きてしまったことはしょうがない。そこでこれから大事になるのは、この問題にどう対処し、今後どうしていくか、である。
これは日本の多くの不祥事やスキャンダルに当てはまるかもしれないが、独立した第三者が調査に乗り出す必要があるのではないか。米国でいうなら、トランプ大統領のロシア疑惑を捜査しているロバート・モラー特別検察官が率いるような独立した調査チームである。
今回の件で財務省は、被害を受けた記者に名乗り出るよう呼びかけ、同省が紹介する弁護士に連絡すれば匿名性を確保できるとした。これは被害者からすればとんでもないことで、当該組織の“ひも付き”と想像してしまう人たちに名乗り出るのはやはり違和感があるだろう。もっと言えば、森友問題で明らかになったように、文書などを改ざんすることに罪の意識がないと思われる財務省に調査をしてもらっても、信頼性に疑問符が付くと言わざるを得ない。
この問題は、国会や中央官庁の運営に影響を及ぼしているだけに、税金を使ってでも、国民のために調査を行う必要がある。財務省や元財務次官のメンツのためにやるのではない。だからこそ、すぐに第三者チームを立てて、横やりや忖度(そんたく)の入らない形で調査すべきなのである。それが間違いから教訓を学ぶ、ということにつながる。
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