「セクハラ大国」の汚名を返上するために、どうしたらいいのか:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
前財務省事務次官・福田淳一氏のセクハラ問題は海外でも広く報じられている。どのように対処していけばいいのか。いま一度、ハラスメントに対する認識を見つめ直すべきだ。
米国では敏感な空気に
言うまでもなく、セクハラという意味では、米国の方がスケールはでかい。まさに米国も「セクハラ大国」である。米国では、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ疑惑に端を発した大規模なセクハラ騒動の余韻が今も残っている状態だ。大統領から映画俳優、有名ニュースキャスター、ジャーナリスト、料理人、カメラマンなど枚挙にいとまがない事態になっている。
米国では今、これまでになくセクハラに敏感な空気が漂っている。そんな中で日本のセクハラのニュースを見ると、嫌悪感が倍増するものである。
米国滞在中、こんな話も聞いた。米議会の女性スタッフの間では、議員や職員、官僚などよく知られた「要注意人物」の名前が広まっているという。しかも女性スタッフたちは多くの場合、同僚女性から、「(彼らによる)セクハラについて告発する前に2度考えるべきで、さもないと、キャリアが台無しになる」と忠告を受けるらしい。
米国の調査では、働く女性の半分近くがセクハラなどの経験があると答えている。一方、日本では16年の調査で、働く女性の約3分の1がセクハラ被害を訴えている、という報道があった。どちらも、泣き寝入りするケースも相当数だろうと想像できる。
そんな状況から、日本のメディアでは、「米国なら名前を出してセクハラを告発する」と発言している人もいる。確かに著名人を中心にそういうケースも少なくないが、逆に、一般の会社内や、今回のテレビ朝日の記者のような会社と取引先(取材先)の間で板挟みになるようなケースでは、実名で告発したくない人が多いという事実もある。米メディアでも「匿名を条件」に誰かのセクハラを告発している女性は多い。
そんな事情を受けて、匿名でも告発できる受け皿が立ち上がってもいる。例えば、「AllVoice」や「tEQuitable」といったサイトは、匿名でセクハラを告発できる。告発を受けて、サイト側が社に連絡するなどセクハラ対策をすべく動いてくれるというものだ。
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