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スシローの進化についていけなかったかっぱ寿司:1人負けした理由(2/5 ページ)
かつて業界をリードする立場だったかっぱ寿司が、競合他社に次々と追い抜かれている。逆転を許してしまった背景にはいったい何があるのだろうか。
回転すし業界のビジネスモデル
回転すし業界は低価格・高原価率のビジネスモデルだ。原価率とは売上高に占める原価(商品の仕入れや製造にかかる費用)の割合を指す。すしでいうとシャリとネタ (魚)が大きな割合を占める。
カッパ・クリエイトの原価率は49.2%(17年3月期)、スシローグローバルHDの原価率は48.3%(17年9月期)だ。他業界の原価率と比較すると、吉野家を運営する吉野家ホールディングスは35.1%(18年2月期)、日高屋を運営するハイディ日高は27.2%(18年2月期)なので、外食産業のなかでは原価率が高いことが理解できるだろう。
客は「低価格なのに、こんなにおいしいのか」という満足を求めて回転すし店を訪れる。原価はおいしさに直結すると考えてよいだろう。
スシローグローバルHDは同時期の決算資料を公開していないが「原価率約50%を堅持してきた」(同社広報)という。さらに、くら寿司を運営するくらコーポレーションの原価率は45%前後をキープしている。
一方、カッパ・クリエイトの原価率は2000年代後半には40%弱だったが、緩やかに上昇を続けている。原価率が上がっている理由についてカッパ・クリエイトの広報担当者は「近年においては、お客様により良い商品を提供するため、原価に投じる割合は増加傾向にあります」と説明するが、ライバルが質の高いすしを投入することに焦りを感じていた面もあるのだろう。
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