同じ「道の駅」なのに、なぜ売上格差が生まれるのか:水曜インタビュー劇場(GW公演)(3/6 ページ)
クルマを運転していて「道の駅」を見ることが多くなった。観光スポットとしてどんどん増えているわけだが、気になることも。それは同じ「道の駅」という看板を掲げているのに、なぜ人気がある駅と、そうでない駅があるのか。『道の駅 旅案内全国地図』の守屋之克編集長に話を聞いたところ……。
人気のある駅、そうでない駅
土肥: 道の駅の数をみると、ものすごい勢いで増えていますよね。1993年は103駅だったのに、2000年には600駅を超えている。なにがきっかけでこれほど増えたのでしょうか?
守屋: 90年代後半に直売所ブームがありました。実際に現地に足を運んで、地元の食材を購入する。そうした人たちが増えたこともあって、それまでは「とりあえず休憩場所をつくっていればいいんでしょ」といった考えだったところも、このころから観光で来てもらえる場所として工夫するところが増えてきました。
土肥: そー言われてみると、そのころスーパーに行くと、野菜に農家の写真を貼っているところが増えていたような。POPに「このジャガイモ、ワタシがつくりました」などと書かれていて、おじいちゃんの顔写真がペタッと貼られていて。
話は変わりますが、人気のあるところと、そうでないところがありますよね。クルマで行っても駐車場は満車で、道路が渋滞になっているところも。その一方で、駐車場にクルマは少なく、施設のなかはガラガラのところも。同じ「道の駅」の看板を掲げているのに、なぜこのような差が生まれているのでしょうか?
守屋: 自治体は運営者に対して協力しているのか。地元住民は駅に対して愛着を感じているのか。関係者が協力しあって、「困ったことがあればなんでも言ってくださいね」といったコミュニケーションができていれば、好調のところが多い。逆に、自治体が「運営はあなたたちに任せているので、あとはよしなに」といった姿勢を見せているところは、苦戦しているところが多い。
土肥: 「あの人、どーも好きになれないから、ウチは卸さないよ」といった農家が出てくる。結果、店頭に商品が並ばなくなるとか?
守屋: はい。非協力的な人が増えてくると、うまく回らなくなるんですよね。一方で、運営に積極的できちんとした関係性を築けているところは、「○○さんの野菜、おいしいね。また、置いてくださいね」といった会話が交わされている。運営者と地元住民の関係が良好であれば、並ぶモノが違ってくるんですよね。
自分がつくった野菜が店頭に並んでいると、気になりますよね。「売れているかなあ。どうかなあ。ちょっと駅に行ってみるか」となって、足を運ぶ。そこで、おいしそうなモノが並んでいたら「ちょっと買ってみるか」となる。そうした新たな発見があると、「ウチもこうしたモノをつくって売ろうかな」となる。これまでになかった新たな取り組みが次々に生まれてくるので、駅が活性化していくんですよね。そうした駅を訪問した観光客は「ここいいね」となる。
関連記事
- 6畳弱の狭い物件に、住みたい人が殺到している理由
6畳弱の狭い物件が人気を集めていることをご存じだろうか。物件名は「QUQURI(ククリ)」。運営をしているピリタスの社長に、その理由を聞いたところ……。 - それでもTEACが、カセットデッキをつくり続ける理由
オーディオメーカーのTEACがダブルカセットデッキを発売した。カセットテープ市場は20年以上前から縮小しているのに、なぜこのタイミングで新製品を投入したのか。同社の担当者に理由を聞いたところ……。 - なぜ駅ナカで鼻毛を抜こうと思ったのか 「3分 1000円」の世界
駅ナカで鼻毛脱毛を行っている店が、ちょっと話題になっている。店名は「ekibana(エキバナ)」。3分1000円で鼻毛を抜いてくれるこの店は、どのような特徴があるのか。話を聞いた。 - カプセルホテルに似たホテルが、地方を再生させるかもしれない
カプセルホテルのようで、カプセルホテルでない。そんな宿泊施設が全国で増えているのをご存じだろうか。その名は「ファーストキャビン」。全店の平均稼働率が90%を超えているホテルは、どのような特徴があるのか。 - 会話が見える! 世界最速の「リアルタイム字幕」にびっくり
「UDトーク」というアプリをご存じだろうか。目の前の会話が次々に字幕になるサービスだが、その仕組みはどうなっているのか? アプリを開発した青木秀仁さんに聞いたところ……。 - なぜ時刻表に“謎ダイヤ”が存在するのか
鉄道の時刻表を調べる際、スマホで検索している人が多いだろうが、実は紙の時刻表をじっくり見ると、興味深い情報がたくさんある。例えば、実際に走っていない特急が走っていることも。どういうことか。『JTB時刻表』の大内編集長に、謎ダイヤの真相を聞いた。 - 石けんを販売している会社の傘が、なぜ郵便局で売れているのか
郵便局で「傘」が売れていることをご存じだろうか。その名は「ポキッと折れるんです」。なんだかゆるーいネーミングだが、どのような特徴があるのか。 - プラモデル風の「伊勢えび」が、注目を浴びたワケ
イセエビの姿造りを“組み立てる”ことができるキットをご存じだろうか。商品名は「対ひとり晩酌用イセエビ」。水産仲卸業の海商が12月に発売したところ、SNS上などで話題になり、売れに売れた。その秘密を探ってみると……。 - 新刊『バカ売れ法則大全』 出ました!
ITmedia ビジネスオンラインの人気記事をまとめた書籍『バカ売れ法則大全』を刊行します。東京の中心部で赤い自転車に乗っている人が増えているワケ、『コロコロコミック』が小学生男子のハートをつかんでいる秘密などに迫っています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.