連載
センベロの王者 「晩杯屋」急成長のワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(前編)(4/4 ページ)
わずか10年弱で東京を代表する立ち飲みチェーンに成長した「晩杯屋」。お酒とつまみ3品程度で1000円以下という低価格が支持されているが“センベロの多店舗化”に成功した背景には何があるのだろうか?
センベロの多店舗化にまい進
あきんどスシローの水留浩一社長が「魚はどこかの漁場で湧くことがある。いつどんな魚種がどこで湧くかを予想するのは難しいが、漁場の情報をキャッチすれば安く仕入れられる」と述べているように、築地市場には全国の魚の情報が集まってくる。豊洲に移転してもその役割は変わらないだろう。
今は冷凍技術が発達しているので、安く大量に仕入れた魚を保存することも可能だ。
晩杯屋ではセントラルキッチンを16年8月に完備して、冷凍保存に加え、刺身にする魚を柵(ブロック)の状態で店に送るなど、現場での調理を軽減するシステムも構築している。経験の少ないアルバイトでもお店を回せる“センベロの多店舗化”というユニークなビジネスモデルを築いた。
これからも店舗数をどんどん増やしていくのか。注目である。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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