「インスタ映え」はお中元の救世主となるか:百貨店、廃れ行く「習慣」にはもう頼れない(1/2 ページ)
大丸松坂屋百貨店が「インスタ映え」を意識した今年のお中元向け商品を発表した。贈答品の習慣が薄れて市場が縮小しているためで、若い女性層を取り込む。
もうすぐお中元の季節。箱に詰めたコーヒーや缶詰を親戚やお世話になった人に贈る……。そんな昔ながらの贈答品商戦に変化が出始めている。大丸松坂屋百貨店の今年のお中元のテーマは「インスタ映え」。Instagramにアップしたくなるような見栄えにこだわった食べ物をそろえ、比較的若い女性層に売り込む。もはや高齢層しかお中元やお歳暮を贈る習慣がなくなり、市場が先細り続けていることが背景。果たして「インスタ映え」はお中元の“救世主”となるか。
リアルな錦鯉の寿司、「断面萌え」仕様のすいかパンも
5月9日にお披露目した大丸松坂屋百貨店のお中元カタログ。冒頭ページの商品は、いずれもカラフルなスイーツや細工を凝らした料理ばかり。「錦鯉の姿寿司」(税込み1万800円)は、大分産のイカを職人が錦鯉の形に仕上げて寿司にした一品だ。「ジャズ羊羹classic2棹セット」(同5400円)はピアノそっくりの羊羹。上の層が白色になっており、黒鍵の模様があしらわれている。「すいかパン」(2斤で同4212円)は、外側はスイカの皮の模様、切った中身もチョコチップの「種」が入ったスイカ仕様というパン。サンドイッチなどの断面にときめく「断面萌え」な人をターゲットにした。
いずれも「フォトジェニック」を追求した品ぞろえで、人気インスタグラマー3人に推薦してもらうなど「インスタ向け」を徹底。大丸松坂屋百貨店の担当バイヤーは「見た目や味で自分が気に入ったものを大事な人に贈ったり、自分へのご褒美としてお取り寄せする使い方をしてほしい」と熱を込める。一方、缶詰やそうめんといった昔ながらの商品はカタログの後ろに掲載している。
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