売れない営業マンが知るべき、2つのフレームワーク:営業マンの成長(6/6 ページ)
精一杯がんばっているのに営業成果がなかなか上がらない――。ついついこんな言葉を口にしたことがある人も多いのでは。仕事をしていると、なぜこのような不満が出てくるのか。その理由は……。
アイスバーグの成長と成果のタイムラグ
今の激しい競争社会、情報社会で、「あせるな」「じっくりアイスバーグを大きくしなさい」といっても簡単でないことは承知している。また、「結果に執着するからがんばれる」という意見も多いだろう。しかし、筆者は永遠にじっくり進もうと言っているわけではない。下の図を見てもらいたい。
Bラインは、即効性が上がるもののみに注力するアプローチであり、狩猟型や短期刈り取り型に近いものである。目の前に見えるターゲットをいかに獲得するかの執念とスキルが重要であり、確かに成約スキルが上がれば獲得率は上がる。しかし、ターゲットの数の上下や、気力・体力の衰え等に影響を受けやすく、中期的には緩やかに下降する傾向がありアイスバーグの成長も少ない。
一方、Aラインは農耕型に近く、最初の努力がすぐには結果に結びつきにくい。一定期間の辛抱が必要であるが、収穫までのサイクルを回せれば、同じPDCAを回しながらそれらを拡大していくことも十分可能なものである。もちろん、Aラインだけで生計を立てることは難しいので、Bラインとの複合が必要だと思う。ただ、これからまだまだ長く仕事をされていく読者の皆さんには、Bラインだけの「短期刈り取り・アイスバーグ少成長型」はお勧めしない。
成長のスピードや、形成するアイスバーグの形は人それぞれだが、意識を変えることで、得られるものは大きく変わり、営業の成果も激変する。2つのフレームワーク、『提供価値:提供価格マトリクス』『営業マンのアイスバーグ』で、自分のマインドセットを認識し、正しく営業のアイスバーグを大きくして、Aラインの成長を目指してほしい。
プロフィール:吉田行宏(よしだ・ゆきひろ)
元株式会社ガリバーインターナショナル(現株式会社IDOM)専務取締役。創業4年でガリバーを全国展開させ同社を株式公開に導く。10年で1000億の売り上げを達成した日本でも数少ないハイパーグロースカンパニー。 FC事業、経営戦略 ・ マーケティング・人事・教育 ・ IT・財務等の担当役員を歴任。2012年に退任するまでの18年間、一貫して人事・評価制度の構築、運営及び社員・幹部育成、教育を行い、独自の研修や育成理論を構築する。
ガリバー退任後は、若手経営者の育成支援と、共同での新規事業創造のため、株式会社アイランドクレアを設立。現在25社以上の企業の役員、戦略顧問、出資支援を行っている。2018年4月に初の書籍『成長マインドセット』(クロスメディア・パブリッシング)を発売。
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