600人以上が参加、SPACETIDEで語られた宇宙ビジネスの現在地:宇宙ビジネスの新潮流(1/3 ページ)
日本初の民間による宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE2018」が開催。3回目となる今回は「宇宙ビジネスの広がりが、あらゆる産業を巻き込む」をテーマに国内外の専門家が議論した。ダイジェストで紹介する。
宇宙ビジネスはあらゆる産業を巻き込む
5月10日、日本橋三井ホールで宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE2018」が開催された。SPACETIDEは日本初の民間による宇宙ビジネスカンファレンスとして、同志と筆者が2015年に立ち上げた。3回目となる今回は「宇宙ビジネスの広がりが、あらゆる産業を巻き込む」をテーマに行われた。
当日オープニングでお話しさせていただいたように事前登録者は600人以上。事業開発・マーケティング(約20%)エンジニア(約15%)、起業家・経営者・投資家(約15%)、政府・大学関係者(約15%)、学生(約15%)、その他(約20%)という内訳で、半分以上が現在宇宙ビジネスに関わっていない人たちだった。
各パネルの詳細は、既にメディアで報じられているものも多く、また今後主催団体のSNS等で公開していく予定のため、今回はSPACETIDE2018に込めた主催側の思いと、登壇者の話から見えてきた宇宙ビジネスの現在地を振り返りたい。
業界をリードする議論、衛星ビジネスは事業化の段階に
SPACETIDEの目標の1つが「業界をリードする議論を行う」ことだ。日本ではいまだ宇宙ビジネスと一括りにされることが多いが、ビジネス分野ごとに状況が異なるため、それぞれに具体的な議論を行う段階に来ている。
衛星ビジネスを取り扱った「宇宙ビッグデータがもたらす新たな市場」パネルでは、衛星開発・運用を目指すアクセルスペース、ImPACT(革新的研究開発推進プログラム)で小型レーダー衛星を開発する白坂成功氏、アンテナ運用をするインフォステラ、衛星データ用のクラウドサービスを提供する米Amazon Web Services、データ解析をする米Orbital Insightが登壇した。
既に事業のマネタイズも見据えつつある同分野では、衛星量産の考え方、金融や農業分野における衛星データ活用事例、顧客ニーズの理解、衛星データと顧客企業のデータを組み合わせることの重要性、データセキュリティのあり方、料金設定の考え方など、かなり具体的な議論がなされた。
また同じく衛星分野では、ソフトバンクが大規模投資して、数百機の小型衛星によるインターネットサービスを目指すOneWeb Solutionsがプレゼンを行った。20年を次世代衛星産業元年と位置付け、400Mbps(DL)の高スループット、50msecの低遅延、安価な通信量、フラット型端末を実現して、コンシューマーブロードバンドサービスを展開する方向が示され、会場の注目を集めた。
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