ヨドバシの接客力を支える「すごい教育」:8年連続顧客満足1位のワケ(2/5 ページ)
社員の接客レベルや商品知識の深さが評判のヨドバシカメラ。高い接客力を支えているのは社内の教育体制にあった。いったい、どんなことをしているのか?
安売り競争の反省から社内教育を強化
ヨドバシの高い「社員力」の源流はどこにあるのだろうか。同社の日野文彦専務取締役に社員教育の方針を聞いた。
ヨドバシが社員教育の必要性を痛感したのは、1970年代後半に繰り広げられた「新宿カメラ戦争」がきっかけだ。九州を地盤とするカメラ専門店のドイ(店名:カメラのドイ)が東京・新宿駅西口に進出し、ヨドバシやカメラのさくらや(90年にさくらやに社名変更)を巻き込んだ安売り競争を繰り広げた(出所:日本経済新聞2013年8月11日)。
「どこの店に行っても、品ぞろえや価格はほとんど一緒という状況でした。商品知識や接客レベルを上げなければ勝ち残れないと判断した当時のトップが、社員教育に力を入れるぞと号令をかけました」
日野専務によれば、当時の店員は「お客さまに『売ってあげる』」という接客態度で、商品陳列にも大きな工夫はなかったという。
そこで、ヨドバシは1980年代から本格的な社員教育に取り組み始めた。専属講師と契約を結び、「お辞儀の方法」「服装」「接客用語」を社員にたたき込んだ。業界内では先進的な取り組みだったという。1990年代になると社員に販売士などの資格取得を強く推奨するようになった。販売士とは日本商工会議所が運営している資格で流通・小売業で幅広く取り入れられている。
単に、資格取得を奨励するだけで接客レベルや商品知識が増えるのならば苦労はしない。社員教育や資格取得と並行して「とにかく勉強しろ」と経営陣は社員に発破をかけ続けた。
「お客さまの要望を受けて、ワープロ、時計、家電製品と取り扱い商品をどんどん増やしていきました。すると、どうしても商品知識を強化する必要に迫られます。お客さまのニーズが多様化し、扱う商品も増えてくれば、常に勉強をし続けなければいけません。そういった社風を作り上げられたことがお客さまに支持されているのではないでしょうか」
こうした取り組みを経て、ヨドバシは社員が学び続ける土台を築いていった。
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