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ヨドバシの接客力を支える「すごい教育」:8年連続顧客満足1位のワケ(5/5 ページ)
社員の接客レベルや商品知識の深さが評判のヨドバシカメラ。高い接客力を支えているのは社内の教育体制にあった。いったい、どんなことをしているのか?
新人をサポートする「チームヨドバシ」
ヨドバシには「チームヨドバシ」という職場内の小集団がある。これは、PCやカメラといった商品群ごとにつくられるチームで、社員同士が勉強を教えあったり、接客面でサポートしあったりするものだ。チームの人員は5〜40人までさまざまだ。
チーム制は新入社員が店舗に配属されたあと、孤立しないための措置でもある。新入社員には先輩社員がマンツーマンで指導する。地方都市に本格的に進出を始めた約20年前から導入された。東京都内ならば店舗が多数あるので人的交流や店舗をまたいだ勉強会を実施できるが、地方だとそうもいかない。
チーム制度はヨドバシの新入社員にも好評なようだ。こういった細やかな対応は人材定着の面で大きな効果が見込めるものだろう。
店員に配布する接客マニュアルを廃止
ヨドバシではかつて手帳型の接客マニュアルを毎年更新して社員に配布し、朝礼などで確認していたが、1990年代後半に廃止している。
その狙いについて日野専務は「商品数も増え、お客さまのニーズが多様化しました。常にお客さまのことを考え、お客さまに合わせたサービスを提供するには、マニュアルに頼ってはいけません。社員が常に勉強し、自分で考え、一人一人のお客さまに向けたサービスを実践する必要があります」と解説する。
ヨドバシの高い「社員力」を支えるのは、社員が自主的に勉強し、教えあい、サポートしあう社風にあったのだ。
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