“中国民泊”最大手CEOを直撃 「民泊新法は規制が厳し過ぎる」と力説:「民泊2020年問題」勃発(3/3 ページ)
6月15日の民泊新法(住宅宿泊事業法)施行を前に、日本で事業展開する中国系民泊仲介サイトの最大手「自在客(ジザイケ)」の運営会社CEOに、新法への対応や日本でのビジネス展開について聞いた。
「東京五輪中には宿泊施設が足りなくなる」
――東京五輪期間中の民泊はどれくらい必要とみているか。
張CEO 1日当たり100万人分、1部屋に2人泊まったとすると、約50万室が必要になる。ピーク時にはこの倍くらいになるのではないか。このうち15%が民泊に宿泊したと計算すると、東京五輪期間中は7万〜8万室、ピーク時には15万〜16万室の民泊需要が見込まれるのではないか。今の状況では宿泊施設が足りなくなると考えられる。
――将来的に「自在客」サイトの目標値として、どのくらいまで物件数を伸ばしたいか。
張CEO 2年後には5万件あるとうれしいが、民泊新法は規制が厳しいので実現は難しいかもしれない。これからも日本市場を最も重視することは変わらないものの、規制が緩和されない場合は、韓国や台湾など他のアジア市場に重点を移すことも考えざるを得ない。
――数年前の「爆買い」は収まったが、いま訪日中国人は何を一番楽しみにしているのか。
張CEO 日本でしかできない体験を期待している。中でも健康、スポーツ関連が人気で、スキーやマラソンに参加する人も多い。温泉は中国にもあるが、日本はいくつもの種類の温泉が1カ所に集中しているので、短期間で効率的に多くの温泉を味わえるのが受けている。また、訪日客は1カ所だけでなく数カ所の観光地を旅行するようになってきたので、旅館、民宿、ゲストハウス、簡易宿泊など多様な宿泊施設を利用する。こうした要求に答えるため、旅館など多くの宿泊施設と提携している。
――スマートフォンを使った電子決済サービス「Alipay(アリペイ)」「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」が日本ではあまり導入されていない。中国人旅行者は不満を持っているのでは。
張CEO 確かに中国ではモバイル電子決済が普及している。ただ、日本に来た中国人は滞在中リラックスして楽しみたいという気持ちが強いので、中国にいる時のようにせかせか急いで電子決済をしなければならないとは思っていない。このため、電子決済がなくても、大きな障害にはならないと感じている。
日本は中国人にとって今後も魅力的な観光地であり続ける。そのような好機を生かさない手はないはずだ。東京五輪に向けて、日本政府には民泊の規制緩和と手続きの迅速化を強く求める。
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