畑違いの分野なのにペット事業に参入したシャープの勝算:自社の強みをどう生かす?(2/2 ページ)
シャープは6月11日、ペット事業に参入すると発表した。ペットビジネスのノウハウを豊富に持っているわけではないのに、どうして「勝算あり」と見込んだのだろうか。
シャープがペット事業に参入する理由
シャープでIoT事業などを統括する長谷川祥典専務執行役員はペット事業に参入した狙いについて「国内で犬・猫の飼育頭数は15歳未満の子どもの数を大きく上回っている。8割以上が室内飼いをしているというデータもあり、ペットの家族化が進んでいる。ペットも加えたスマートライフを実現したい」と説明する。ペットは家族ではあるが、言葉を話すことができない。ペットの健康を気遣う飼い主に対して、IoTを活用したヘルスケアのサービスには需要があると判断したわけだ。
シャープにはペットビジネスのノウハウが豊富にあるわけではないが、健康状態を数値化してしまえば、IoT関連のビジネスとして展開できる。同社が実施したモニター調査によると、健康状態を数字で把握することに魅力を感じ、継続してサービスを利用したいと考える顧客がいたという。国内に1800万頭いるペットの飼い主のなかには、ITの活用に興味を持つ層は一定数確実にいるはずで、事業として将来性がある。
長谷川専務は記者会見で「製品とサービスを一体化させて新しい事業をつくりたい」と意気込んだ。製品を売りっぱなしにするのではなく、関連するサービスも提供することで、消費者と継続的な関係を継続できる。また、長谷川専務は「国内でノウハウを蓄積すれば、海外でも同じサービスが展開できる」という見通しを立てている。
シャープにはペット関連ビジネスのノウハウはないが、他社に先んじてサービスを展開することで、ノウハウを蓄積する狙いがあるのだろう。
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