佐賀に移住すると、東京より仕事のステージが1段上がるという話:地方で働く(3/3 ページ)
東京から佐賀県伊万里市へと移住して1年ほど経ちました。周囲からは仕事の心配などをされますが、意外に何とかなっているどころか、実は仕事の量・質ともに格別のメリットを実感しています。今回は「地方に移住するとなぜ仕事のステージが1段も2段も上がるのか」、その理由を3つにまとめてご説明します。
理由3:誰かのために働けるようになった
地方に移住した今にして思えばですが、東京では分業化された役割を果たすことに集中するあまり、物理的にも比喩的にも、クライアントの顔が見えていなかったなぁと反省しています。
興味も確信もないけれど、ノルマだし、期限もあるし、まずは経験の中にあるマニュアル通りに……みたいな言い訳まみれの仕事をしてきました。本当に申し訳ないです。言い訳を重ねますと、東京は豊かで何もかもがそろった大都市であるがゆえに、困っている人の顔が目に見えにくい場所なのかなと感じます。当事者になりきれていない担当者同士が話し合う状況、分かるでしょうか。
一方で、課題先進国中の課題先進地域である地方には、目に見える課題が山積みです。事業者さんや行政や住民の方々は、本当の本気でマジに困っていて、かつ大企業でなく中小企業が多いがゆえに、当事者の困り顔はいつも目の前にあります。仕事や酒の席を問わず、話題はいつも地域課題の解決です。
ですから私も、本当の本気で心からオススメしたい提案を考え抜くようになりました。課題先進地域だからこそ、前例のない解答を模索するようになりました。課題後進地域に課題先進地域の問題を解決する手段がないのは当然なので。そして、課題先進地域だからこそ、世界に輸出できる先端の成功事例を生み出せる、そしてそれは東京にはできないことだと大それたことを考えるようになりました。「誰かのため」という仕事の本質を、地方で働くことで初めて理解できたように思います。
自営のライターという特殊な職業からの見解をお伝えしてきましたが、「ライター」をほかの職業に置き換えても、割と同じようなことが言えるのかなと思います。地方で働き始めますと、自分にしかできないことを強く意識するようになります。類似のキャラクターがやはり大都市に比べたら少ないから、そして、東京で無意識に繰り返してきたやり方が地方で通用しないことを思い知るからです。手法の適性という意味でも、予算的にも、地域の経験値的にも。
私にとって仕事に対する意識が1段も2段も上がった「移住」という決断でしたが、一気に移住まで思い切らなくても、まずは副業やパラレルワークから始めて、週末だけ地方とか行きたい住みたい拠点が見つかるまで各地を周遊するとか、そういう緩めのスタートからで「地方で働く」を考え始めることをオススメします。
その中でもし佐賀、伊万里を選択肢の1つに数えてくださる個人、企業の方がいらっしゃれば、「伊万里のイワタテ」が喜んで現地をご案内しますのでお気軽にご連絡いただければ幸いです。新たな仲間を大、大、大歓迎いたします!
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