佐賀に移住すると、東京より仕事のステージが1段上がるという話:地方で働く(2/3 ページ)
東京から佐賀県伊万里市へと移住して1年ほど経ちました。周囲からは仕事の心配などをされますが、意外に何とかなっているどころか、実は仕事の量・質ともに格別のメリットを実感しています。今回は「地方に移住するとなぜ仕事のステージが1段も2段も上がるのか」、その理由を3つにまとめてご説明します。
理由2:相場がないので仕事を大きく受けられる
矛盾するようですが、正直に言うと、佐賀県内には「ライターが単独で受けられる仕事」は、ほとんど出回っていませんでした。専業ライターが長らく不在だったためでしょう。相場がないのです。
プロジェクト全体の見積もり項目に「文章」が含まれていなくても驚きません。予算が付いていても3000円だったりします。そりゃあ専業、専門化は無理というものです。
だからといって、私が食うに困るかと言ったら、全然そんなことはなかったです。ライターの仕事に価格がついていないなら、周辺領域に仕事を広げてそっちが収益化できれば良いだけでした。
サッカーに例えると、東京での私はFWとして点を取る役割「だけ」に没頭することができました。しかし佐賀での私は、FWだけでなくGK、監督、スカウトやサポーターまで、幅広い役割を兼任する働き方に変わっています。つまりこれは東京が高度に専門化の進んだ街であるというところの指摘であって、どちらが良いかは個々人の選択なのですが、ライター仕事と同様、地方には品質は高いのにびっくりするくらい低価格だったり、値段すらついていない商品・サービスが溢れていたりすることは事実です。
それを「金脈」とみなして、仕事のないところに仕事を作る。そして、自分の「役割」の限界の先を考える。そういう生き方を良しとする方であれば、地方での仕事は大分楽しいし、稼げるはずです。言い方を変えれば、仕事を「受注」するか「創造」するかで言ったら、自分は後者の方が性に合っていたし、稼げています。地方で活躍しているのはそういう人だらけだ、ということに移住してから気付いたという話でした。
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