ビジネスマン僧侶が挑む お寺が「コンシェルジュ」になろうとする理由:築地本願寺が立ち向かう“寺離れ”(2/5 ページ)
築地本願寺は「開かれたお寺」を目指すプロジェクトを立ち上げた。仕掛け人は、ビジネスマンとしての顔も持つ、代表役員 宗務長の安永雄玄さん。“寺離れ”が進む現状に立ち向かうためにはどうすればいいのか。取り組みとその背景を探った。
ビジネスの世界から仏教の道へ
危機感を持って取り組みを始めた安永さんだが、プロジェクトを率いるようになるまでには曲折があった。キャリアのスタートは銀行員。メガバンクに勤務し、大阪やロンドンなどに赴任した。ロンドンでは現地の地場企業を相手にした営業活動を担当し、新規顧客獲得で成果を挙げた。
銀行で22年間働いた後、46歳で退職。外資系コンサルティング会社でヘッドハンティング業務の経験を積み、独立した。その後、別のコンサル会社に入社し、現在はその会社の経営を担っている。
ビジネスマンとしてのキャリアを積み重ねてきた安永さん。「いったいどこで寺が出てくるの?」と思ったかもしれない。実は、宗教との関わりはずっと持ち続けていた。
「もともと宗教には興味があり、イベントなどに参加していました。ロンドン駐在中も、月1〜2回はミサに通っていたんです。宗教は『人生、いかに生きるべきか』という問いに対する答えや安心感を与えてくれるものだと考えています」
コンサルタントに転じてからは、仕事をしながら中央仏教学院の通信教育で仏教を学んだ。その後、僧侶になるための出家の儀式「得度(とくど)」を受け、僧侶としての活動を始めた。
ビジネスをしながら知人の寺で働くうちに、そのユニークな経歴が注目されるように。組織改革を目指していた浄土真宗本願寺派(京都市)から意見を聞かれることが増え、寺を取り巻く環境の変化に対する危機感を訴えるようになった。
「意見しすぎたようです(笑)。『そんなに言うならやってくれ』と言われ、築地本願寺でプロジェクトを立ち上げることになりました」。それが3年前。のちに「寺と」プロジェクトへと発展するプロジェクトを立ち上げることになったのだ。目標は「首都圏で伝道・布教を進める」こと。
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