100人超の社員と約280社を巻き込んだローソンの「発注改革大作戦」:30年ぶりの刷新(2/5 ページ)
ローソンが30年ぶりに発注システムを大きく変えた。夕方以降の品ぞろえを強化することと、店舗の在庫状況を見ながら柔軟に発注内容を調整できる仕組みを構築するのが目的だ。100人以上に及ぶ社員と280社近くが関わるプロジェクトはどのように進められたのだろうか。
発注の精度を向上させる
夕方に買い物をするお客に対応するには、午後4時までに十分な量の商品を陳列しないといけない。しかし、従来の発注方法には、大きな問題点があった。
それは、発注から納品までの時間が長いことだ。午後2時締めの発注に基づき、翌日の午後1時半以降に納品される従来の方式では、発注の精度がどうしても落ちてしまう。発注から納品までの時間が短ければ短いほど、過不足なく商品をそろえることができる。
また、これまでは、1日に必要となる商品をまとめて発注するような方式だったが、お店にある在庫の状況を見ながら発注内容をより細かく調整できるような仕組みも求められていた。
以上を踏まえると、新しい発注システムの方向性が見えてきた。それは、発注を取りまとめる時間を「午前10時締め」「午後2時締め」「午後10時締め」の3つにすることだ。キーとなるのは午後10時に締めて、翌日の午後1時以降に納品する枠を創出したことだ。発注から納品までの時間を大幅に短縮することで、予測の精度を上げつつ、午後4時に売り場のピークをつくることができる。また、朝や昼のピーク時間を過ぎたあとに、店舗の在庫状況を見て、発注量をより柔軟に調整できるようにもなる。
ローソンは、このプランを実際に実験してみた。ある店舗では、「夕方以降はあまり商品が売れない」と考え、発注量を控えていた。しかし、午後4時に売り場のピークをつくったところ、売り上げが増えたという。改革の方向性が間違っていないことを確認できた同社は、本格的な変革に着手した。
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