時代の変化から逃げてはいけない “元受付嬢”が受付の自動化に取り組む理由:これからの人間の役割とは?(2/6 ページ)
11年間にわたり「受付嬢」として活躍した後、起業して、オフィスの受付業務を効率化するシステムを開発したディライテッドの橋本真里子さん。彼女は自分の仕事を機械に奪われるどころか、むしろ能動的に仕事の一部を機械に置き換え、自動化したのである――。
――働く人の入れ替わりが激しいのはなぜですか?
1つは派遣社員が多いからです。一定の契約期間を過ぎると別の職場に移されてしまう。基本的には3ヶ月更新なので、入れ替わりがよく発生します。年齢的にも結婚などライフイベントに左右され、辞める人もいます。
自主的に転職する人も少なくありません。「受付」と言っても、10社あれば10通りの受付のやり方、カラーがあります。何年か同じ企業に勤めていると、「他の企業の受付はどうなんだろう?」と興味が湧いてくるんですよ。
それと、今はもう違うのかもしれませんが、「受付は30歳まで」と年齢が定められた求人の募集要項も当時は少なくありませんでした。誰も口にはしなくても、「受付は若い女性(ひと)がやる仕事」「30になったら辞めるもの」という暗黙のルールがあったような気がします。
――橋本さんの起業の決断もその暗黙のルールを意識してのもの?
いいえ、私の場合は別の転機が重なったからでした。
1つ目の転機は、3社目の職場での「派遣切り」。その会社では人にも環境にも恵まれたおかげで穏やかに働けていた一方、「このままでいいのか」という疑問が生まれていきました。そのタイミングで会社の業績が傾いてしまい、受付として働けなくなってしまったんです。
それがちょうど、私が30歳になる年。「もう受付はやりきったと自分で満足してから次のステップに進もう。これが最後の現場だ」と決めて、GMOで働き始めました。
はじめはオペレーションが煩雑で、かつそれまでの職場に比べてスタッフのモチベーションも正直低かった。課題は山積みだったので、自分の次のステップについて考える暇もなく、ひたすら目の前の仕事に没頭していました。
それが数カ月経ち、「どこに出しても恥ずかしくない受付のチームに育った」と達成感を得られたタイミングで、次のステップについて考え始めたんです。
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