時代の変化から逃げてはいけない “元受付嬢”が受付の自動化に取り組む理由:これからの人間の役割とは?(5/6 ページ)
11年間にわたり「受付嬢」として活躍した後、起業して、オフィスの受付業務を効率化するシステムを開発したディライテッドの橋本真里子さん。彼女は自分の仕事を機械に奪われるどころか、むしろ能動的に仕事の一部を機械に置き換え、自動化したのである――。
テクノロジーが「人間の受付ならでは」の可能性を広げる
――そのように機能が充実していくと、いよいよ人間が受付をする必要がなくなっていくと感じる人もいると思います。そうした声についてはどうお考えですか?
RECEPTIONIST は受付を機械に置き換えるシステムと思われがちですが、そうではなく、「受付の可能性を広げる」プロダクトなんです。
受付で働く人を定型的な取次ぎ業務から解放し、顧客対応や給茶、清掃などに注力できるようにする。人間の受付ならではの価値を発揮してもらうためのものなんです。
また、これまで受付は「有人か、無人か」の2択でした。けれど、RECEPTIONISTがあれば、営業時間外やランチタイムだけ無人にするという選択肢が生まれます。さらに、受付一人一人にかかる負担が減れば、これまで「受付は大変、ハードルが高い」と思っていた人たちにも、「受付嬢になりたい」と思ってもらえるようになるかもしれない。
――「人間の受付ならでは」の価値とはどのようなものでしょうか?
きっと、来訪者に心地良く感じてもらえるよう接するなど、なにか具体的な仕事の例を挙げるのが分かりやすいんでしょうけど、本質的には、「自分にしか発揮できない価値」を問い続け、その価値を創出するために行動すること」なんだと思います。
強みは人によって違います。それが何かを思考することは、人間にしかできません。その「人間ならでは」の仕事をするために、機械の力を積極的に借りていけばいいんです。
不確実な未来を嘆く前に、今仕事の意味をもう一度問う
――「人間と機械の競争」について、どう思われますか?
私も派遣切りに遭った経験がありますし、受付システムの導入で職を失った友人もいます。ですから、機械が人間に置き換わる未来への不安も理解できるんです。
けれど、不確定な未来を悲観するよりも、まずは目の前のやるべき仕事に集中し、自分ならではの価値を発揮していくことほうが圧倒的に大切。それが結果として、自分の立場を守ることにもつながると思います。
私にとって、今自分にしか発揮できない価値は、この会社やシステムのファンを増やしていくこと。ファンになってもらえるよう、会社やシステムの魅力を伝えることにおいては、プロでなければならないと自分を奮い立たせています。
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