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「部下を褒めると育たない」という思い込みは捨てよう日本は「褒め赤字」(1/3 ページ)

「褒めると育たない」と考える人も多いかもしれないが、本当にそうだろうか。コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんは「日本企業は“褒め赤字”」と指摘する。時代が変わった今、若い人をうまく動かすためにはどんな考え方が必要なのか。

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特集:「褒め合い」が会社を変える

 厳しく指導して若手社員を育てる……という時代ではない。しかし、どのように部下と接したらいいか分からないという人も多いだろう。日本企業では、まだまだ「称賛」が浸透していないのが現状だ。

 「褒める」コミュニケーションをどのように実践すればいいのだろうか。難しく考える必要はない。「褒め合い」を上手に取り入れている企業の事例や専門家の話から、いま実践できる職場改革を考える。


 「褒めすぎは甘やかしだ」「甘えていては成長しない」。心の中ではそう思っているビジネスパーソンはたくさんいるだろう。日本の職場に褒める文化がなじまないのは、そういった考え方が根強いからかもしれない。

 しかし、本当に「褒めると育たない」のだろうか。「自分は褒められずに成長してきた」と胸を張る人もいるかもしれないが、時代は変わっている。今の企業を取り巻く環境や若い人の気質を理解し、賢く振る舞うのが“デキる”ビジネスパーソンだと言えるだろう。

 そのために理解するべき考え方とは何だろうか。企業経営者などのコミュニケーション力強化を支援している、コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんに話を聞いた。

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うまく褒めるために必要な考え方とは?(写真は記事と関係ありません)

「褒め赤字」に陥っている

――褒めることが大事だとなんとなく分かっていても、それができない人が多いのはなぜでしょうか。

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岡本純子さん。コミュニケーション・ストラテジスト、オジサン研究家。グローコム社長。2018年2月、『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)を出版した。

 日本人はコミュニケーションがうまくいくルールを分かっていない人が多いように思います。コミュニケーションに関する書籍や記事はたくさんありますが、“なんとなく”読んでいる。根本的な知識が広まっていないので、感覚的に理解した気になっています。海外、特に米国ではコミュニケーションに関する研究が膨大にあり、より科学的な理解が進んでいる印象です。

 日本では職場に限らず、組織の同質性が高く、「言わなくても分かる」「厳しく鍛える」という体育会系のカルチャーが根強くあります。そのせいか、「褒める」ために使う言葉自体が少ないですよね。例えば英語なら、「すごいね」という言葉だけでもgreat, special, awesome, good, wonderful, fantastic, excellent, spectacular, superなど何十とあります。

 そのような文化的背景があることから、褒めることの効果が取り沙汰されても、「甘えてしまうのではないか」と身構えてしまうのだと思います。

――「甘やかすのはよくない」という考え方のどこに問題があるのでしょうか。

 日本の企業はそもそも「褒め赤字」なのです。褒める仕組みを取り入れたところで、褒めすぎるということはありません。褒める回数が少ないので、いくら褒めたと思っていても、マイナス100だったのが、せいぜいマイナス50になる程度ではないでしょうか。

 この「褒め赤字」の状態が、企業に与えるマイナスの影響は大きいのです。

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