新型フォレスターのふくよかなリズム:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/4 ページ)
スバルは新型フォレスターを7月19日に発売する。フォレスターはスバルブランドの最量販車種となるSUVであり、それに新世代シャシーであるSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)が導入されたことが今回の最大のポイントだ。では、実際に乗ってみてどうだったかというと……。
最終結論は街乗りを試したい
今回スバルが押すポイントの1つにドライバーモニタリングシステムがある。これはセンターバイザーにこっそりと仕込まれたカメラでドライバーの顔を認証し、居眠りや脇見運転を監視警告するシステム。こっちが本筋だ。ただ真面目過ぎてメリットが分かりにくいので、分かりやすい訴求ポイントも設けた。
顔認証に5人までドライバーを登録でき、運転席に座った人を車両側が自動判別して、シートに座っただけでシートポジションとミラーの角度を自動的に合わせる。こういう先進装備は真面目な機能だけだと、ユーザーにとってコストパフォーマンスが低く感じられるケースが多いので、こういう分かりやすい現世利益で背中を押すことはとても大事だ。ただしこれが搭載されるのは e-BOXERだけで、2.5にはオプションでも選べない。そこは市場の反応を見ながら徐々に拡充していくと言う。
さて結論としてフォレスターはよく仕上がっている。ふくよかなリズムはとても良い。日常使いをしっかり見定めて仕立てられているが、高負荷域であってもちゃんと応えてくれる。2.5に関してはお勧めできる1台に入れられるだろう。
ただし、燃費に納得がいくかどうかは本人次第。2.0のE-BOXERはCAFE(企業平均燃費規制)へのスバルの回答ということになると思う。今回のコースではその真価は感じられなかったが、アウェイなコースにもかかわらず、及第点が取れたことは記しておきたい。公道での試乗によって減点が増えることはないと思われるので、そこでの加点状態を見て最終的な結論としたい。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。
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