新型フォレスターのふくよかなリズム:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/4 ページ)
スバルは新型フォレスターを7月19日に発売する。フォレスターはスバルブランドの最量販車種となるSUVであり、それに新世代シャシーであるSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)が導入されたことが今回の最大のポイントだ。では、実際に乗ってみてどうだったかというと……。
2.0と2.5はどう違う?
さて、パワートレインの比較である。2.0 e-BOXERはエンジンが不利な低速でトルクをモーターが補う。モーターはエンジンより格段にレスポンスが良いのでトルクの立ち上がりが早いのが身上である。だから発進のマナーに大きく期待をしていたのだが、タイヤのひと転がり目のトルクデリバリーのマナーは2.5の勝ち。やはり大排気量ユニットをゆるゆると回すことに勝る方法はないのかもしれない。
一度速度が上がってしまうとモーターの出番はあまりない。2000回転も回っていれば、モーターのトルクのピークである65Nmを外れて半分くらいまで落ち込んでしまい、助勢は感じ取れないから、純粋にエンジンだけの勝負になる。だからこのコースに限って言えば、もう全域で2.5が良い。
しかも、補助金を加味した乗り出し価格だと値段が完全にイーブン。燃費の利得も走り方次第で2.5の方が良い場面があるとスバルの人が言うのだから、e-BOXERのメリットはだいぶ曖昧になってくる。ただ今回のステージはあまりにもe-BOXERにアウェイなので、改めて公道でストップ&ゴーが多発するシチュエーションでチェックしたい。ただしその機会は秋以降となるらしい。
e-BOXERは走行用バッテリーをトランク下に搭載する。これが約100キロ。高負荷の領域に限って言えばハンドリング面でもこの不利が顔を出す。SGPの利点であるリヤの落ち着きの一貫性が2.5ほどない。負荷の低い領域で、軌道を変える自在さに限って言えば2.5より高く、パワステの反力が軽いせいもあって、ある意味若々しさを感じるのだが、2.5の方がクルマの動きが予測し易くスイートスポットがつかみ易い。もちろんタイヤの能力に余裕を持って走っている領域では欠点と言えるほどのものではないが、それでも運転リズムに筋が通っていると言う意味では2.5にアドバンテージがある。
ブレーキも2.5のような太さが感じられない。ハイブリッドはエネルギー回生があるので仕方がないと言えば仕方がないが、それは作る側の都合でお客に関係ないし、そのデメリット分だけ燃費が段違いと言うわけでもない。
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