静岡を野球王国に! 私が20年間暮らした東京を離れたわけ:地方には伸びしろがある(3/3 ページ)
昨年末、大学に進学してから約20年暮らした東京を離れ、生まれ育った静岡県静岡市に生活と仕事の拠点を移しました。地方で仕事することに対して「不便ではないか?」といった声がありますが、それ以上にメリットを感じています。
東京での20年が基盤にあるからこそ
現在、仕事の傍らワシントンD.C.にあるジョージ・ワシントン大学の「Executive Certificate Program」でスポーツ・フィランソロピー(スポーツにおける慈善事業)を専攻していますが、すべての授業はオンラインで受けています。地方に住んでいても工夫さえすれば最新情報には常に触れられますし、東京での追われる生活から解放された今、ゆとりを持って楽しく学生生活を送ることができています。
ライター業もNPOも県人会も、決して現状に満足しているわけではありません。ライターとしてもまだ進化するつもりですし、NPOも県人会ももっと大きな組織にしていきたい。そのために何をすべきかを、経済的な問題にとらわれることなく、時間的・精神的な余裕をもって考えられるため、前向きな毎日を送ることができます。
都市部を離れて地方に移住するとなると、「モチベーションが下がるのではないか」「チャンスが遠のくのではないか」と不安になる方もいるかもしれません。私がもし若くていろんなことに未経験だったら、恐らくそういった不安に駆られていたでしょう。今そこまで不安がないのは、東京での約20年でたくさんの刺激を受け、素晴らしい人たちに巡り合えた基盤があるからこそだと思っています。
大都市で培ってきた経験をもとに、これから地元に対して何ができるのか――私の恩返しは、まだ始まったばかりです。
著者プロフィール
岡田真理(おかだ まり)
1978年生まれ。静岡県静岡市出身。立教大学文学部卒業後、UC Berkeley International Diploma Programにてマーケティングのディプロマを取得。帰国後、プロアスリートのマネージャーを経て2007年よりスポーツライターとして活動。『週刊ベースボール』『スポーツナビ』などスポーツ媒体のほか、『現代ビジネス』『東洋経済オンライン』などビジネス媒体でもアスリートインタビューやスポーツコラムなどを執筆。14年、NPO法人「ベースボール・レジェンド・ファウンデーション」を設立。オリックス・バファローズの増井浩俊選手らが参画する「プロ野球静岡県人会」の事務局長、および侍ジャパンU12監督・仁志敏久氏主宰の野球振興プロジェクト「ホームベースクラブ」の運営スタッフも務める。
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