「同僚からのボーナス」があると、職場はどう変わるのか:メルカリにも浸透(2/4 ページ)
従業員同士で感謝や称賛の気持ちを込めて成果給(インセンティブ)を贈り合う「ピアボーナス」が注目されている。2017年に開始されたサービス「Unipos」は、メルカリなど100社以上が導入。どんな仕組みなのか、開発企業に聞いた。
“面倒なコミュニケーション”を排除
Uniposはどのようなシステムなのだろうか。特徴の一つは、「カスタマイズ性が低い」ことだ。従業員同士が称賛や感謝を交わす“体験”を軸に設計しており、それは企業の文化や業種によって変わるものではない。ほとんどの機能が統一されている。
基本的な使い方は、感謝や称賛のメッセージと一緒にポイントを贈り合うというものだ。1人につき、週に400ポイントまで使用できる。1回で最大120ポイントを贈れる。PCやスマートフォンからSNSのように投稿し、その投稿は全従業員から閲覧可能。投稿に共感したら「拍手」を贈る。拍手すると、メッセージを贈った人と贈られた人の両方にポイントを付与できる。
1カ月分の獲得ポイントを集計し、1ポイント当たり1〜5円が成果給として支給される。この1ポイント当たりの金額は企業によって異なる。Fringe81の田中社長は「当社では1ポイント=3円で運用していますが、1人当たりの支給額の中央値は月3000円ぐらいです」と説明する。
田中社長はUniposについて「贈って楽しい、もらってうれしい仕組みを目指した」と話す。ポイントを受け取った側は、反応を3種類の絵文字から選ぶことしかできない。お礼の言葉を返すなどの“面倒なコミュニケーション”を排除し、楽しさを体験してもらうためだ。
「MVPを決める制度はたくさんありますが、それらが楽しくないのはなぜでしょうか? それは、半年や1年という期間で数人しかもらえないから。時間を1日単位で細かくすると、ヒーローはたくさん生まれるのです。それを全公開で共有する、フェアな仕組みです」(田中社長)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 社内表彰をしても、若手が辞めてしまうのはなぜか
社内表彰などの「褒める制度」を導入している企業はたくさんあるが、それはモチベーションや定着率の向上につながっているだろうか。1000社が導入した「褒め合い」システムを開発した企業に、褒める文化が根付かない理由や称賛の考え方などを聞いた。 - ANAで年21万回も「グッドジョブ!」が交わされる理由
ANAグループが実施している「Good Jobカード」。長年の取り組みだが、近年急激に利用回数が伸び、2017年には21万回に達した。称賛し合う取り組みがここまで浸透した背景には何があるのだろうか。 - 「部下を褒めると育たない」という思い込みは捨てよう
「褒めると育たない」と考える人も多いかもしれないが、本当にそうだろうか。コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんは「日本企業は“褒め赤字”」と指摘する。時代が変わった今、若い人をうまく動かすためにはどんな考え方が必要なのか。 - 社内の人間が「褒め合う」には、どうすればいいのか
「部下を褒めることは、恥ずかしいのでできない」といった上司もいるはず。とはいっても、ダメ出しばかりでは、社内の雰囲気は悪くなるばかり。どうしたら抵抗感なく、褒めることができるのだろうか。 - なぜメルカリはホワイトな労働環境をつくれるのか?
メルカリの福利厚生がホワイトすぎると話題だ。多くの日本企業は働き方改革を実践するため、残業時間の規制などに躍起になるが、根本的な誤解も多い。メルカリの取り組みを知ることで働き方改革の本質が見えてくるはずだ。