「褒め言葉」はいらない 上司のこんな行動が部下を“前向き”にする!:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/4 ページ)
「褒め合い」の効果が注目されていますが、実践しようとしてもうまくいかないのはなぜでしょうか。企業トップを務めた方が教えてくれた「社員は全員、立派な社会人」という言葉にそのヒントが隠されています。【更新】
「心」を大事にすれば、部下は動く
相手への敬意、部下への敬意――。
この気持ちが「部下」を動かします。実は先の大企業のトップは、若い頃、かなりのイケイケで生意気だったと言います。でも、「口だけ番長」にならずに、自主的に動き、より真剣に取り組み、仕事を次々と成し遂げ、リーダーとして頭角を現したのも「一人の社会人」として真正面から向き合ってくれた上司がいたからです。
そして誰もが、自分に敬意を払い、「一人の社会人」として向き合ってくれる上司に出会った時、「おかしなことはできない」と前に進む努力をすると思うのです。
とはいえ、まだまだ経験も浅い、スキルの未熟な社会人初心者です。気持ちだけでうまく回るわけもなく、逆に気持ちだけが空回りしてしまうことだってあるでしょう。
ここが「上司の出番」です!
部下の教育は、上司自身が部下を「一人の社会人」として敬意を払うことから始まり、その先で手ほどきする。仕事に必要な情報、知っておくべきこと、やっておくべきことなどを部下に手ほどきする「インフォメーション上司」として、隣に立てばいいのです。
そこに「愛のムチ」は必要ないし、「褒め言葉」も必要なし。
きちんと部下がやっていれば、「やってるな! ちゃんと見てるぞ!」とメッセージを送り、部下が壁にぶつかっている時には、「おう、どうした?」と声をかけ、部下がやってくれた時には、「よし! いいぞ!」と認めればいい。
相手の「心」をちょっとでもイメージすれば、自ずと「言葉」をかけたくなるのではないでしょうか。
確かに褒められればうれしいかもしれません。褒められると「よし!」という気持ちになるかもしれません。
でも、「教育のため」の褒め言葉なんて必要なし。少なくとも私は、そんな褒め言葉、いらない 。それより「私を認めてほしい」と願います。自分がやっていることをきちんと「見てほしい」と。そして、その「心」を潤す「言葉」が届いた時、それは自分にとって「最高の褒め言葉」になっていくのです。
【更新:2018年7月13日19時00分 諸事情により、内容を一部変更しました。】
河合薫氏のプロフィール:
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)
著者からのお知らせ
新刊『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』が発売されました!
【注:会社や上司に不満のない人には、全く役に立たない本です】
600万の黒字より、5億の赤字の方が評価されるんです――。瀕死の部署を再生させた後、左遷されたモリさん(仮)は、苦笑しながらこう語った。
上層部の意図に沿わない成功は全く評価されず、上層部の方針に従って出した大赤字は「ナイスチャレンジ」と見なされる。会社という組織では、そんな「残念」なことが毎日起きている。
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