2015年7月27日以前の記事
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メーカーから依頼殺到 お客が思わず引き寄せられる試食販売の世界“凄腕”スタッフは40倍売る(2/4 ページ)

試食販売というと「商品を持ってただ立っている人」をイメージする読者も多いかもしれない。しかし、売り方を工夫して普通のスタッフの40倍売る“凄腕”がおり、試食販売の高い効果に注目する企業が増えているという。知られざる試食販売の世界とは?

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お魚ステーキを1日で1000個売る方法

 ブリやタラのお魚ステーキを例に、どうすればたくさん売ることができるのか聞いてみた。

 はたから見ると気付きにくいのだが、ホットプレートで魚を焼きながら顧客に商品説明をするのは難しいという。慣れないSAだと焼く作業に気を取られてしまい、満足な商品説明ができない。さらに、魚の焼き加減や提供する量も重要で、十分な量を用意して温かいうちに顧客に食べてもらわなければ、本当のおいしさが伝えられない。

 購入する顧客の数には限りがあるので、1人の顧客にどれだけ多くの商品を買ってもらうかもポイントとなる。鈴木氏は「魚の切り身のような商品はセールストークが大事です」と説明する。「小学生の子どものいる家庭」「高齢者だけの家庭」といったように、顧客の家庭状況を瞬時に見抜き、提案する内容を変えているのだ。子どもがいる家庭ならば「お弁当作り」をテーマにしてコミュニケーションをとる。弁当のおかずとして便利なことや、冷凍保存可能なことを伝えれば、顧客は自然と何個も購入するというわけだ。

 スーパーを訪れる主婦や高齢者の8割は献立を決めずに来店しているというのが業界の通説だ。「今夜の夕食をどうしよう」「お弁当の具をどうしよう」と悩んでいる顧客にいかに魅力的な提案ができるかどうかがSAの腕の見せ所だ。

 このような地道な提案を繰り返すことで、1人当たりの購買点数が増え、結果的に1000個売れるようになるという。

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夕食や弁当の献立に悩む主婦(写真はイメージです)

顧客の心を引き付ける実演テクニック

 顧客の目を引き寄せるためのテクニックもある。

 例えば、ある菓子メーカーから「バニラアイスを売ってほしい」「砕いたチョコチップクッキーとバニラアイスを一緒に食べる提案をしてほしい」という依頼があったとする。

 鈴木氏は事前にクッキーを砕いておくのではなく、顧客の目の前で実際に砕いてみせる。そうすれば、自宅で簡単に作れることが視覚的に伝わるだけでなく、子どもの注意を引くこともできる。何より、鈴木氏自身が楽しそうに砕いて見せるというのがポイントのようだ。

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