ホテル事業の経験がなかったのに、「TRUNK(HOTEL)」好調の秘密:水曜インタビュー劇場(稼働率91%公演)(2/6 ページ)
渋谷駅から徒歩10分ほどのところにある「TRUNK(HOTEL)」をご存じだろうか。ウェディング事業などを手掛けるテイクアンドギヴ・ニーズが2017年5月にオープンしたところ、「オレも泊まりたい」「ワタシも泊まりたい」という声が殺到しているという。その理由に迫ったところ……。
ビーチサンダルを渡す理由
土肥: 「TRUNK(HOTEL)」が好調のようですね。客室は7タイプあって、全15室。部屋のなかを見せてもらったところ、最高級の「テラススイート」にはびっくりしました。部屋の広さは140平米もあって、さらにテラスが70平米もある。本格的なキッチンがあるので、シェフを招いてパーティーを開くことが多いとか。
テラスには、バーベキューができるグリルと大きなダイニングテーブルのほかに、バスもある。さらにビールサーバーも完備しているので、生ビールを楽しむことができる。この部屋には1〜8人が泊まることができて、1泊の料金はなんと57万円以上(税・サ別、シーズン変動あり)もするそうで。
ホテル内を一巡すると、いろいろなモノが目につきますよね。ロビーにはバーが併設されていたり、バンケット(宴会場)があったり、チャペルがあったり、ショップがあったり。ホテルの延べ床面積のうち客室スペースは15.8%しかない。ということもあって、客室は15室しかないけれど、ホテル内は人が多くてざわざわしている感じ。
そんなホテルの稼働率がなぜ高いのか、なぜ平均客室単価が高いのか、といった理由を聞く前に、ひとつ気になることがあります。コンセプトとして、等身大の社会貢献を意味する「ソーシャライジング」を掲げていますが、これはどういう意味でしょうか?
古賀: 「ホテルに泊まる」となれば、人はどのようなことを求めるのか。豪華な部屋であったり、おいしい料理であったり、おもてなしの接客であったり。ぜいたくなモノを楽しみたい人が多いかもしれませんが、全員がそのようなモノを求めているわけではないと思うんですよね。「等身大」「社会貢献」という言葉を聞くと、ちょっとハードルが高いなあと感じられるかもしれませんが、ホテルにいるだけで社会とのつながりを感じることができるのではないかと考えました。
例えば、チェックイン時、お客さんにビーチサンダルを渡します。多くのホテルは、部屋に使い捨てのスリッパを置いていると思うのですが、履き心地があまりよくないですよね。使ったら捨ててしまうので、ゴミになってしまう。ビーチサンダルはデザインだけでなく、履き心地にもこだわりました。使い終わったら捨てるのではなく、お客さんには持ち帰って家でも使っていただきたい。また、素材はリサイクルしたゴムを使っているので、環境に優しい。
このほかにも、ホテル内で使うマグカップは、全国から回収した食器類を粉砕し、坏土(はいど:陶磁器の生地)として再生させたモノを使っています。ロビーに飾られているアート作品の一部は障がいを持つアーティストの作品だったり、ハンガーもゴミになった鉄を再利用したり、くしもプラスチック製ではなく紙でできていたり。
土肥: これでもかこれでもかといった感じで、ホテル内にあるモノが社会貢献という視点でつくられているわけですね。その考え方は素晴らしいと思うのですが、だからといって「環境に優しいモノを使いたいからこのホテルに泊まりたい」という人は少ないはず。稼働率の高さはどのように分析しているのでしょうか?
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