中京テレビの「2次会強要禁止」、“飲み会も仕事のうち”は変わるのか:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/5 ページ)
上司による2次会参加の強要禁止、社長の一言を廃止――。中京テレビが発表した働き方改革が話題になっている。一見、生産性とは関係なさそうだが、これまでの「当たり前」を問い直すという、本当の働き方改革につながる。なぜなら……。
「当たり前」を問い直すことが「働き方改革」
そもそも国会で議論されてきた「働き方改革」は、改革ではなく法律の問題です。
残業規制は、労働時間を1日8時間、週40時間と定めた「労働基準法」が機能するように、36協定を見直し、インターバル規制を入れ、罰則を徹底する。本来の労働基準法の目的に立ち返ればいいだけの話です。
2016年度に支払われた「未払い残業代」は127億円。前年度と比べると27%増えている状況で、高度プロフェッショナル制度(高プロ)もへったくれもないのです(こちらはまた別の機会に問題点などをお話ししますね)。
いずれにせよ、真の働き方改革とは、「それまで見過ごされていたこと、仕方がないとされていたことを“みんなの問題”として考え、解決しようと努力する」ってこと。
隠され押さえつけられてきた悲鳴を掘り起こし、女性とか、男性とか、部下とか、上司とか、はたまた社会人とか、何でもかんでもひとくくりにするのではなく、一人一人と向き合う。
「なに? 2次会くらいやってもいいじゃないか」とか、「飲み会がダメだったらいつ部下と腹割って話せばいいんだよ」とか、「社長の一言に付き合うのも、社会人の仕事のうち」などと言い訳したり、意味不明の説得を上司からされない社会。今まで「当たり前」だったことを、「本当に当たり前なのか?」「本当に必要なのか?」と考えてみる。これこそが「働き方改革」なんじゃないでしょうか。
そういった意味では、小松社長が一見「生産性」と関係なさそうな問題(=2次会、社長の一言)に、「業務の効率化」というお題目をあげたのも、「なかなかですね!」と感心しました。私なりに解釈すれば、それは「小さなことでもいいから取り組もうぜ!」というメッセージなんじゃないかと。
例えば「最高気温が33度を超える予想の時は、スーツは禁止します」なんてことも働き方改革だし、「通勤ラッシュを避けて時差通勤を!」なんてのもあり。これからもどんどん進めてほしいし、中京テレビの社員の方たちもどんどん「声」を上げてほしいです。
関連記事
- あの大企業も大炎上 「しかるべき手続き」の落とし穴
キリンビバレッジがTwitterで発信し、炎上した「午後ティー女子」。社内で「しかるべき手続き」が行われたはずなのに、なぜ間違ってしまったのか。 - 残業削減のためにまた会議? トップの意味不明な指示を生む“罠”
残業削減を唱えながら会議が増える……。トップの意味不明な指示に困っていませんか? 彼らは自分の考えが正しいと信じ、現場の問題に向き合うつもりはありません。そんなとき、私たちができることは何でしょうか? - ラフプレーと財務職員自殺 “服従の心理”の末路
日大アメフト部のラフプレー問題で、選手が監督やコーチの指示に逆らえなかった心情を語りました。悪いことだと分かっていても、権力者の命令に従ってしまう。その心理は誰にでも働く可能性があり、50年以上前の実験でも明らかになっています。 - 子どもを持つのは国のため? 「3人以上産んで」発言に潜む“幻想”
加藤寛治衆議院議員の「3人以上子どもを産んで」発言。「何が問題なのか」という声も聞こえますが、こうした発言が繰り返される理由を理解しておく必要があります。そこには、戦時中から変わらない「価値観」がはびこっていて……。 - 会社員が「昭和っぽい」と感じる働き方 2位は「長時間労働」 1位は……?
現代のビジネスパーソンが「昭和っぽい」と感じる社風や働き方は?――ワークスモバイルジャパン調べ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.