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中京テレビの「2次会強要禁止」、“飲み会も仕事のうち”は変わるのか:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/5 ページ)
上司による2次会参加の強要禁止、社長の一言を廃止――。中京テレビが発表した働き方改革が話題になっている。一見、生産性とは関係なさそうだが、これまでの「当たり前」を問い直すという、本当の働き方改革につながる。なぜなら……。
「部下と一杯飲むこと」のハードルは上がっている
数年前にロンドンで「ハイヒールを女性社員に強要するのはNG」とする嘆願書が出されて話題となりましたが、日本のビジネスマンもそれくらいやってもいいのに、なんてことを思うわけです。
そういえばフランス人の知人に、こんなことを言われたことがありました。
「フランス人が日本に転勤になったり、あっちからトップクラスが日本に出張してくるときには、日本向けマニュアルがあるんだよ。その中に服装に関する項目があって、『日本では必ず紺かグレーのスーツ、ストライプのネクタイを着用すること』と書かれてる。うちの会社は他の国にも現地法人があるのでマニュアルはあるけど、服装のこと、しかもネクタイのことまで書かれてるのは日本だけだよ」
笑うに笑えないお話です。裏を返せば、日本の職場には「隠されてきた悲鳴」があちこちに眠っている。それを一つ一つ掘り起こしていくことができれば、もうちょっとだけ働きやすくなったり、仕事が面白くなったりするかもしれません。
さて、今回の中京テレビの一件では、「飲み会の是非」についても多く聞かれました。
昭和の時代は上司が部下を飲みに連れていく光景は日常的にありましたが、「部下と一杯飲むこと」のハードルは年々上がり、
- 「それって業務命令ですか?」と聞く部下
- 部下を飲みに誘って拘束するのはパワハラになるからと、原則禁止にする会社
- ワークライフバランスが徹底されているから、業務終了後に部下を誘うのはダメと嘆く上司
などなど、「たかが飲み会、されど飲み会」と嘆く上司も増えてきました。
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