いつも暇そうに新聞を読んでいる不動産屋はなぜベンツに乗っているのか:知られざるビジネスモデル(2/4 ページ)
いつも店舗で暇そうにしている不動産屋を見かけたことはないだろうか。ビジネスパーソンがせっせと働いているのとは対照的だが、どのようにして稼いでいるのだろうか。そのビジネスモデルを解剖する。
不動産屋が狙う大きなビジネスチャンスとは?
牧野氏によると、不動産屋の大きな収入となるのは土地、アパート、マンションの売買仲介に伴う手数料だという。
例えば、1棟5000万円のマンションをAさんがBさんに売ったとする。売買仲介をする不動産屋は売り手であるAさんと、買い手であるBさんからそれぞれ3%ずつ手数料を得られる。この場合だと、不動産屋は300万円(5000万円×3%×2)を得られる。牧野氏は「年間30〜40件の売買仲介を行えば1億円以上の収入が見込める計算になりますが、なかなかここまではいかないのが現実です。町の不動産屋の場合だと、せいぜい、年間で3000〜4000万円稼ぐというケースが多いのではないでしょうか」と解説する。
アパートなどの管理料やテナントの更新料では大きなもうけは狙えないが、売買仲介を多く手掛けられれば、不動産屋はベンツを乗り回すのも夢ではなくなるというわけだ。
売買仲介を手掛けるには?
売買仲介という“おいしい話”は天から降ってくるものではない。不動産屋はどのようにして情報を得ているのだろうか。
牧野氏は「地元の資産家に張り付いて、資産管理の顧問のようなことをして信頼を勝ち得ているのです」と説明する。不動産屋は資産家が保有する物件の管理を引き受けたり、日常的な話し相手になったりしている。そして「そろそろこの土地を売ろうと思うから、いつもお世話になっている不動産屋さんに任せます」と言ってもらえる関係性を築いているのだという。
特に、資産家が亡くなったあと、全ての土地や建物の相続を仕切ることができれば、大きな収入が見込める。例えば、土地の売買を仲介するだけでなく、土地を自分で買い取って転売したり、自分で運営する賃貸物件にしたりもできる。
また、不動産屋はロータリークラブやボランティア団体といったお金持ちが集まる場所に頻繁に顔を出しているという。そこで、「税金対策はされていますか? 私の知り合いにすばらしい税理士の方がいますから、一緒に考えましょう」と持ち掛け、不動産を動かす口実を作り出しているのだ。
ただ、こういった売買仲介につながるきっかけ作りに励んでも、常に狙った通りの成果が得られるわけではない。ときには、ふとした拍子に思わぬところから転がり込んでくることもあるため、じっと待つことも必要になる。
町の不動産屋が暇そうに見えるのは、店舗にふらっと立ち寄った資産家との会話に興じていたり、お金持ちが集まるイベントに出掛けるまでの時間つぶしをしたりしているからなのだ。
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