いつも暇そうに新聞を読んでいる不動産屋はなぜベンツに乗っているのか:知られざるビジネスモデル(3/4 ページ)
いつも店舗で暇そうにしている不動産屋を見かけたことはないだろうか。ビジネスパーソンがせっせと働いているのとは対照的だが、どのようにして稼いでいるのだろうか。そのビジネスモデルを解剖する。
不動産価格の下落で“不動産屋はつらいよ”
このように、地元に根を張って複数の資産家から信頼を勝ち取った不動産屋のビジネスは今後も安泰のように見える。大手不動産会社が割って入るのはなかなか難しいからだ。
しかし、牧野氏によると、近年の不動産価格の下落により、厳しい状況に置かれる町の不動産屋が増えているという。
まず、前提となる不動産売買における仲介手数料の仕組みについて説明しよう。宅地建物取引業法により、不動産屋が受け取ることのできる仲介手数料には上限額が決められている。細かな説明は省略するが、報酬額は取引額の数%となっている。つまり、仲介する物件の価格が下落すると、自分の収入が減ってしまうのだ。
近年、人口減少などの影響で、不動産価格が大きく下落しているエリアが出始めている。バブル期、リゾート地に建設されたマンションの価格が大きく下落しているというニュースを目にした読者も多いだろう。
しかし、かつて“バブリー”だった場所だけでなくても資産価値が下落する例が出てきている。牧野氏は「例えば、千葉や埼玉の郊外では、新築時には3000万円だった物件が、10分の1にまで下落している例があります」と説明する。3000万円の物件の売買仲介を手掛ければ180万円の収入になるが、300万円の物件だと雀の涙ほどの収入にしかならない。しかも、やらなかればいけない手続きは一緒である。これでは、ビジネスとしての“うまみ”はなくなってしまうため、廃業せざるを得なくなるというわけだ。
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