ワタミを救った「鶏肉」に外食チェーンが熱視線を送るワケ:牛や豚より何が優れているの?(2/4 ページ)
経営不振に陥っていたワタミが鶏肉をメインにした業態の店舗を増やすことで復活しようとしている。近年、鶏肉をメインにした業態に大手外食チェーンが次々と参入しているが、ビジネスモデルの観点から牛や豚より鶏が優れている理由を考察する。
急増するから揚げ専門店
から揚げ専門店も好調だ。とんかつ店チェーン「かつや」を運営するアークランドサービスホールディングスは14年以降、から揚げを扱う新業態である「からやま」をスタートし、国内に45店舗、海外に6店舗を展開するまでになった(18年7月末時点)。メインメニューはから揚げが4個ついた「からやま定食」(590円、税抜、以下同)で、持ち帰りのメニューには「ジューシーもも丸」(100グラム当たり259円)などがある。
アークランドの広報担当者によると、男性顧客がメインのかつやとくらべ、からやまではファミリー層の利用が多いという。テークアウトの需要も多く、持ち帰りのから揚げが売り上げの半分以上を占める店舗もあるという。広報担当者は参入の経緯について「から揚げは日本人の好む商品であり、成長性があると判断した」と説明した。
すかいらーくも参入
すかいらーくは17年よりから揚げ専門店「から好し」をスタートし、33店舗を展開するまでになった(18年6月末時点)。メインメニューはから揚げが4個ついた「から好し定食」(590円)と、から揚げを丼に3個載せた「胡麻にんにくダレ丼」(590円)だ。すかいらーくの広報担当者によるとランチタイムは会社員の男性やシニア層が来店し、ディナータイムにはファミリー層やから揚げをテークアウトする主婦の利用が多いという。売り上げに占めるテークアウトの割合は4割にも上る。
同社はから揚げに注目した背景について「共働き世帯や単身世帯が増えており、家庭で揚げ物をしない傾向も強まっている。子どもからシニアの方まで幅広く人気があるから揚げを日常的に提供するため」と説明した。
すかいらーくだけでなく、日本料理店を展開する木曽路は18年7月にから揚げ専門店「からしげ」をオープンさせた。
このように、から揚げ専門の業態は「がっつり食べたい」というビジネスマンだけでなく、ファミリー層やシニア層も取り込んで成長を続けている。
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