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ワタミを救った「鶏肉」に外食チェーンが熱視線を送るワケ牛や豚より何が優れているの?(1/4 ページ)

経営不振に陥っていたワタミが鶏肉をメインにした業態の店舗を増やすことで復活しようとしている。近年、鶏肉をメインにした業態に大手外食チェーンが次々と参入しているが、ビジネスモデルの観点から牛や豚より鶏が優れている理由を考察する。

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数字で読み解く「もうけの仕組み」:

 「あんなに暇そうなのに、どうしてあのお店はつぶれないのか」「こんなに安い価格で本当にやっていけるのか」――世の中には知っているようで知らない「もうけの仕組み」がたくさんある。身近な企業を例に利益構造を学び、ビジネスとお金のセンスを磨いていこう。

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 鶏肉をメインにした業態が伸びている。焼き鳥を主力とする鳥貴族が近年急成長しているだけでなく、経営不振に苦しんでいたワタミは鶏肉をメインにした業態で復活しようとしている。さらに、から揚げ専門店に大手チェーンが相次いで参入している。

 農畜産業振興機構の調査によると、日本人1人当たりの鶏肉消費量は増え続け、2012年にはずっと1位だった豚肉を抜き、それ以降はトップの座を維持している。また、同機構は鶏肉はフライドチキンや焼き鳥など外食における消費が多いのが特徴だと指摘している。

 ここまでくると、「なぜ、鶏肉がこんなに注目されているのか?」という素朴な疑問が出てくる。ビジネスモデルの観点から、鶏肉が支持される背景を分析してみた。

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日本人は牛や豚ではなく鶏をたくさん食べている

鶏肉で復活しつつあるワタミ

 総合居酒屋の不調に苦しんでいたワタミは業績が回復しつつあるが、その主力となったのは16年からスタートした鶏肉を主力とする「ミライザカ」と「三代目鳥メロ」だ。18年3月末時点でミライザカの店舗数は102、鳥メロは123と急増しており、ワタミはさらなる新規出店と既存店舗の業態転換を進める方針だ。

 ミライザカは鶏モモ肉のから揚げが看板メニューではあるが、ワタミが新しく作り上げた総合居酒屋という一面も持つ。ミライザカのWebサイトには「総合居酒屋は、なぜ魅力を失ってしまったのか? それは端的に言うと、時代のニーズにそぐわなくなってしまったからに他なりません」「私たちはいま、新しい時代の、新しい居酒屋を始めます」というメッセージが記されている。

 三代目鳥メロは「トリの、トリによる、トリ好きのための居酒屋」をコンセプトに掲げた居酒屋で、焼き鳥、串揚げ、鶏のモモ一本焼きが看板メニューだ。

 このように、ワタミは総合居酒屋の立て直しと、新しいタイプの居酒屋業態の中心に鶏肉を据えているのである。

 近年、鶏業態で急成長してきた居酒屋チェーンとしては、焼き鳥を主力とする鳥貴族が挙げられる。鳥貴族の店舗数は08年7月期には100店だったが、17年8月期には約500店にまで増えている。

 飲食チェーンSFPホールディングスは、「手羽先唐揚」などを主力とする「鳥良商店」を相次いで出店している。さらに、成長戦略として、運営している磯丸水産を鳥良商店に業態転換する方針を打ち出している。

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ワタミは相次いで鶏肉を主力とする店舗を増やしている
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