10〜70代の約半数が電子書籍を利用せず 「紙の方が集中できる」の声根強く:「旅行に便利」と評価する声も
電子書籍はどの程度定着しているのか?――リサーチ会社マイボイスコム調べ。
10〜70代の55.5%が電子書籍を全く読まない――リサーチ会社マイボイスコムの調査でこんな事実が分かった。電子書籍を読んだ経験がある層の中でも、読む頻度は「月に1回以下」(12.0%)が最多。次いで多かったのは「直近1年間では読んでいない」(8.2%)だった。
「ほとんど毎日読む」は4.2%、「週に4〜5回読む」は2.6%、「週に2〜3回読む」は5.4%、「週に1回読む」は5.6%にとどまっていた。
あまり電子書籍を読まない人からは、「紙で読む方が内容が頭に入りやすく、集中しやすい」「必要に応じて戻ったり、他の頁を参照したりという行為が不自由」「コレクションしたいので、なるべく紙で読みたい」――など、使い勝手や収集する楽しさの面で紙の本に劣るとの意見が出た。
一方、電子書籍の利用者は、「漫画やコミック」(47.3%)、「小説」(36.3%)、「趣味・生活関連の実用書」(35.2%)、「雑誌」(32.4%)などのジャンルをよく読むことが分かった。
閲覧する機器は、スマホ・タブレットが過半数を占め、ノートPCやデスクトップを上回った。電子書籍ストアは、米Amazon.comの「Kindleストア」や、楽天の「楽天Kobo」が人気だった。LINEの「LINEマンガ」は10〜20代の女性から支持されていた。
電子書籍を支持する人からは、「昔に読んだ小説など、紙の書籍では手に入りにくい本を気が向いたときに探し、時間のある時に利用してみたい」「旅行に行く時、ガイドブックなどを電子書籍にすると手軽」「雑誌などは場所をとるので電子書籍を利用したい」――といった声が挙がっていた。
調査は2018年7月1日〜5日にインターネット上で実施。10〜70代の男女1万338人から回答を得た。
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