働き方改革で「ハドルミーティング」が注目される理由:“共有”しても“共有”できていない問題を解決(6/6 ページ)
「無駄な会議」は企業における典型的な課題だ。そうした中で注目を集めているのが「ハドルミーティング」だ。会議の効率化だけでなく、チーム内のコラボレーションにも好影響を与えるというハドルミーティングとは、どのようなものなのだろうか?
ハドルを効率化するツール
ここまで読んで、専用スペースは難しいが、自社や自部署にハドルを導入したいと思った方向けに、ハドルを行うための効果的なアイテムを紹介しよう。
最低限、用意しておきたいのは、スタンディングデスク、モニター、ホワイトボードだ。スタンディングデスクは、数人がノートやタブレットを広げて、その上で小型のディスプレイを置けるだけのスペースがあればいい。移動式のディスプレイがあるなら、天板はよりコンパクトにできる。
簡単に天板を上下できるタイプのデスクなら、スタンディング式のミーティングも、座ってのミーティングにも対応できる。スペースの限られたオフィスには有効だろう。
ディスプレイやホワイトボードは、参加者を議題に集中させるためのツールでもある。全員で同じ画面、同じ書き込みを見て会議を進めることができるので、集中力が上がる。持参する資料も最低限で済むので、天板スペースの有効活用につながる。
最近、人気を集めているのが「電子黒板」だ。これは一口で言えば、タッチパネル式でペンでの書き込みに対応したディスプレイ。表示したPC画面にペンで書き込めるため、会議をスムーズに進行できるようになる。ホワイトボードとディスプレイを兼ねるのでスペース効率も良い。
「所有」から「共有」へ
ところで、ハドルミーティングが日本人にとっては馴染み深い会議に似ていることに気付いた方もいるかもしれない。そう、ハドルミーティングは、朝礼や午礼のような定期開催のミーティングに近いのだ。
話すことがない、形骸化しやすいなどといった理由で、日本では廃止した企業も多い朝礼や午礼だが、海外のハドルミーティングの活用状況を調べてみると、ハドルミーティングをデイリーで行うことで効果を上げている事例が多い。単なる儀式に陥らない、実効性のある会議として朝礼や午礼を見直すことから始めるのもいいかもしれない。
そして、ハドルミーティングの意義は、ビジネスにおけるリソースの使い方に発想の転換を迫っているという点にある。会議のために会議室を予約する、というルーティンワークは、会議室というリソースを「確保」=「所有」する発想に基づいている。リソースを自分のものにしてしまえば、どのようにでも使えるという安心感があるからだ。
しかし、働き方の多様化が進行し、人口減少による働き手不足が進む昨今、ここでも、私たちは「所有」から「シェア」へと発想を切り替えていく必要に迫られている。
ハドルミーティングの考え方は、スペースをあえて所有しないことでシェアしやすい環境を整え、ジャストインタイム式の会議を実現するというものだ。日常の業務の中で、発想の転換を促す最良のきっかけになり得る。
働き方を改革する上で欠かせない「意識改革」にもつながるハドルミーティングは、今後もより重視されていく可能性が高いだろう。
(アスクル「みんなの仕事場」運営事務局)
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