1度はマネジメントサイドを目指すべき、唯一の理由:銀河英雄伝説からビジネスリーダーは何を学ぶべきか?(1/3 ページ)
自分はまだ一人前ではない、もっと現場で技術を学びたいといった理由でマネジメントを嫌がるビジネスパーソンがいます。しかしながら、自分が未熟だからとマネジメントを避けているようであれば、少し考えたほうがいいかもしれません。今回も「銀河英雄伝説」を題材にお話しします。
マネジメントを避ける人たちがいます。
それは、自分がまだ一人前ではないからであったり、まだまだ技術を学びたいといった具合だったりと理由はさまざまですが、マネジメントを嫌がる人は枚挙にいとまがありません。
しかしながら、自分が未熟だという理由でマネジメントを避けているようであれば、それは少し違うのかもしれません。
子どもは完全な親を見ながら育ったりするものじゃないさ。むしろ、不完全な親を反面教師にして、子どもは自主独立の精神を養うんだ。
アレックス・キャゼルヌ
SF小説「銀河英雄伝説」に登場するアレックス・キャゼルヌは自由惑星同盟軍の軍人であり、本作の主人公の1人であるヤン・ウェンリーの先輩に当たる人物です。この言葉はヤン・ウェンリーに結婚を勧める際に用いられた一言です。
読者の皆さんにとって理想の上司像とはどのようなものでしょうか。圧倒的に技術力に富んだ上司も良いでしょうし、人心掌握にずば抜けた上司も素晴らしいです。また、すべてにおいて非の打ちどころのない完璧な上司はさらに優れているのかもしれません。しかしながら、そういった理想、いえ、幻影がマネジメントに対して二の足を踏ませます。
自身の未熟さでマネジメントを避ける人の理由としては、申し訳なさであったり、引け目があるのかもしれません。しかしながら、その不完全さこそが部下を育てる肥やしになることもしばしばあるのは真実です。いや、むしろその方が多いとさえ私の経験則から感じます。
ほとんどのケースで完璧なリーダーなどいません。あなたが完璧だと思っているリーダーであっても、何らかの欠点はあるはずです。数々の戦果を上げてきたあのヤン・ウェンリー(関連記事)だってどこか抜けているところがありますし、ライバルである帝国軍側の主人公、ラインハルト・フォン・ローエングラムだって欠点はあるのです。
部下はそうした上司を見て学び、反面教師としてさらに良いマネジメントスタイルに昇華していきます。そして、自身がリーダーになったときに、部下にもっと良いものを伝えていくのです。人類は代々そうやって少しずつ最適化されてきているのですから。
例えば、ビジネスのフレームワークや秘伝のレシピなどはその最たるものですね。過去の人類の叡智であり、今なお時代に合わせて最適化され続けています。
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