職員の奨学金を肩代わり返済 沖縄・うえむら病院「自分に投資、技術や技能も向上」:長く勤められる環境を
沖縄県中城村のうえむら病院が職員の奨学金返済を手助けする制度を新設した。職員が学生時代に借りた奨学金の残高を、500万円を限度に病院が肩代わりして支払う。
沖縄県中城村のうえむら病院(上村哲院長)が職員の奨学金返済を手助けする制度を新設した。職員が学生時代に借りた奨学金の残高を、500万円を限度に病院が肩代わりして支払う。8月には職員9人に総額1700万円を支給した。上村院長は「職員の経済的な負担をなるべく軽くし、長く勤められる環境にしたい」と話している。(中部報道部・比嘉太一)
ニュースなどで取り上げられている奨学金返済問題に関心を寄せていた上村院長が、4カ月前に全職員(120人)を対象に実態調査したところ、16%(20人)の職員が返済に追われていることが判明。「4、5人くらいかと思っていたが、こんなにいたことに驚いた。他企業でも奨学金返済の支援をしていると聞いたことがあり、すぐに制度を作ることにした」と、上村院長が決断した。
支給対象者は助産師や正看護師、薬剤師、臨床検査技師、医療事務などの職員で、10年以上勤めることが条件。採用されて1年未満の職員は限度額を300万円とする。理事会の審査を通れば一括支給する。
支給が決まった培養士の亀浜志帆さん(22)は県外の専門学校に通うために奨学金を400万円借りた。採用後1年未満のため300万円の支給だったが、20年間の返済期間が5年に短縮された。「今後、資格などの勉強を頑張りたい」と意気込む。
事務員の米須千紗さん(23)も「働く前から返せるか不安だったが、仕事のモチベーションが向上した」と意欲を見せる。看護師の又吉晴香さん(30)は「子どもが3人いるが、奨学金返済で貯金もできなかった。家計が助かる」と感謝した。
上村院長は「経済的な負担がなくなれば自分に投資できるようになり、職場全体の技術や技能の向上にもつながる。継続できるようにしていきたい」と語った。
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