人の気持ちが分からないダメ管理職はAIに取って代わられる:マネジメントの達人に聞く(2/4 ページ)
優れたマネジャーと駄目なマネジャーの違いとは何だろう? プルデンシャル生命保険で伝説のマネジャーと呼ばれ、『25年間「落ちこぼれチーム」を立て直し続けてわかった マネジャーとして一番大切なこと』の著者でもある八木昌実氏が組織マネジメントの本質を語ってくれた。
ボトムの社員を育てるという“落とし穴”
もう1つ、トップクラスの業績を上げているチームを見ていて分かったことがあります。プレイヤー時代の僕のように一匹狼のようなトップセールスマンはいないけれど、メンバー全員がまんべんなく売れるのです。めちゃくちゃ売る人もいないが、まったく売れない人もいない。中間レベルにメンバーが集まっているのです。すると平均値も高くなります。
よくボトムの社員を育てようとするマネジャーがいますが、彼らはやる気がない。頑張っていても売れないのではなくて、頑張ってないから売れない。実は売れるようになりたいとも思ってないのです。
居心地がいいんですよ。オフィスはあるし、名刺や健康保険もある。給料は多くは望めないけれども、外資保険会社なので一般的なサラリーマンよりはもらえます。正直放っていてほしいと思っているのです。マネジャーはメンバー全員を引き上げたいと思いがちですが、実はそこに落とし穴があるのです。
やる気のある人に教えるのと、そうでない人に教える場合、教える側のやる気が全然違いますよ。やる気がある人たちは何とか売りたいと思うから一生懸命に聞くわけです。
けれど、ボトムの人たちは放っておいてほしいと考えている。トレーニングしようとすると、困った顔する。なぜなら受けたくないからです。こっちは教える気があるのに、彼らは研修を受けたくない。目が死んでいるからすぐ分かりますよ。
一方で、トップレベルの人たちはわがまま。「所長、あそこに書類送っておいて」など言われて、手が掛かります。その上でボトム社員の面倒も見ていると、マネジメントの時間の8〜9割を彼らに費やしてしまうことになります。
本来最も力を入れるべきは中間レベルにいるメンバーたちなのです。彼らはある意味控えめで賢く、人間的に完成されているので、教えてくれとは言わないのです。実は彼らをトレーニングしたら一番売れるようになるのです。
でもマネジャーは、トップにごちゃごちゃ言われて、ボトムに研修する。それでは結果など出ないですよ。文句を言わず黙々と仕事している中間層の人たちに一番時間をかけなきゃいけません。
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