くら寿司の好業績を支えた「高級かき氷機」と「価格維持宣言」:「1皿100円」も奏功(1/3 ページ)
2017年11月〜18年7月期決算(連結)が好調だったくら寿司だが、業績のけん引役となったのはこだわりのかき氷だった。専門店で使われている高級かき氷機を投入したことで、差別化に成功した。さらに、「低価格化宣言」の効果も出始めたという。
回転すしチェーン「無添くら寿司」を運営するくらコーポレーションの2017年11月〜18年7月期決算(連結)は純利益が前年同期比12.5%増の37億6200万円となった。好業績をけん引したのは、夏ならではの“あの商品”だった。
思い切ってかき氷に投資
「思い切って導入した“高級かき氷機”でつくったかき氷が好評でした」
くらコーポレーションの広報担当者がこう説明するのは、18年5月よりくら寿司のほとんどの店舗で販売を開始した「夢のふわ雪」シリーズだ。価格は250円(税抜、以下同)で、「猛暑の影響で想定より多く売れた」(広報担当者)という。
一般的なかき氷は舌ざわりがザラザラとしたものが多いが、ふわ雪はきめが細かく、口どけのよいふわっとした口当たりが特徴だ。「夢のふわ雪 豊潤いちご」や「夢のふわ雪 宇治金時」などの種類があり、発売から2カ月で累計100万杯以上が売れるヒット商品になった。さらに、18年7月からはテレビCMを全国にオンエアするなど販促にも力を入れた。かき氷を強調するCMを流すのは同社としては珍しい取り組みだったという。
広報担当者によると、17年にくら寿司の店舗で利用していたかき氷機は家庭用に近いシンプルなものだったという。サイドメニューを強化する方針を打ち出していたくら寿司は、かき氷専門店で使われているような“高級かき氷機”を一部店舗に試験的に導入した。原料となる氷も、天然水を長時間冷やしてつくる“かき氷専用の氷”に変更した。すると、お客から好評だったため、高級かき氷機を18年からほぼ全店に導入することを決めた。「かなり大きい額の投資」(広報担当者)だったという。
競合のスシロー、はま寿司、かっぱ寿司も近年スイーツを強化しており、パフェやケーキを販売しているが、くら寿司はかき氷に特に注力しているのが特徴だ。
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