ファミマの焼き鳥が“香取慎吾効果”で中年女性の心を鷲づかみ:CMの効果てきめん
ファミマが8月に看板メニューである「炭火焼きとり」をリニューアルした。販促のために香取慎吾氏を起用したCMを流したところ、客層に大きな変化があったという。
ファミリーマートは、2017年6月の販売開始から累計販売本数が2億本を超えた「炭火焼きとり」を18年8月にリニューアルした。同商品はファミマの「ファミチキ」と並ぶ看板商品に育ったが、さらなる販売促進のため、タレントの香取慎吾氏を起用したテレビCMを8月に流した。
CMの内容は、ファミマで買った焼き鳥を公園のベンチで食べている香取氏に向かって、サラリーマンが話しかけるという内容なのだが、同社の幹部も驚くような効果があったという。
CM効果で購入する層に変化
ファミリーマートの佐藤英成氏(常務執行役員 商品・物流・品質管理本部長)によると、CMを放送した8月6日の週には前週比で焼き鳥が2倍以上売れたという。この数字だけをみると、単に話題になったCMの効果のように感じられるが、翌週以降も好調な状態が続いている。
焼き鳥を購入する客層にも大きな変化があった。CMを放送する前、焼き鳥を購入する層は、30代男性が最も多く、次に40代男性、20代男性と続いていた。しかし、CM放送後、30代男性が最も多いのは変わらなかったのだが、次に多かったのは40代女性だったという。佐藤氏は「焼き鳥のリピート率が上がっただけでなく、新規のお客さまも開拓できた。商品刷新をした成果もあるが、香取慎吾さんの力も大きい」と、CMの予想外の効果について語った。
女性客の獲得に弾み
ファミマは2018年度下期商品政策説明会で、18年9月以降は「女性の消費に注目する」(佐藤氏)とした。
ファミマの分析によると、13年時点での女性客比率は40.8%だったが、17年には42.7%にまで増加。この傾向は今後も続くとみている。背景にあるのは、女性の就業率が上がり、共働き家庭がコンビニを利用するようになったことにある。コンビニを訪れる女性客は自分の分だけでなく、家族の分も商品を買う傾向があるという。
ファミマは現在、女性向けの商品を強化しているが、その良さを知ってもらうために有名タレントのCMは大きな成果を挙げているようだ。
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